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労働新聞 2017年5月15日号 トピックス

世界のできごと

(4月30日〜5月9日)

米、朝鮮制裁強化へ法案可決
 米下院は五月四日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の労働者を雇用する海外の企業や個人を制裁対象に加える制裁法案を可決した。朝鮮の海外労働者が生産にかかわった製品を輸入した場合も対象で、「中国が繰り返しやってきたこと」(下院外交委員長)と中国を強くけん制する内容。ティラーソン米国務長官は同日、ワシントンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国との外相会議で、各国にも対朝鮮での圧力強化を求めた。トランプ大統領は朝鮮の金正恩委員長との直接会談の可能性も示唆(しさ)、「変化球」を繰り出したが、朝鮮の核放棄を迫る米国と朝鮮との相違は決定的で、朝鮮半島の緊張は続いている。

国民の不満示した仏大統領選
 マクロン前経産デジタル相と極右・国民戦線(FN)のルペン氏との間で争われたフランス大統領選挙の決選投票が七日、投開票され、マクロン氏が当選した。マクロン氏は六六・〇六%を得たが、大企業支援、労働規制の緩和などの主張に対する拒絶感は強く、棄権は二五・四%、白票・無効も一一・五%という高さとなった。一方、決選投票に勝ち進んだルペン氏は、過去最高の得票を得るなど存在感を示した。上昇する失業率などを背景に国民の不満は高く、マクロン政権が安定的な政権運営を行える保証はない。

韓国大統領選、「対話」の文氏当選
 韓国の大統領選挙が九日、行われ、「共に民主党」の文在寅氏が約四〇%の得票を得て、旧与党「自由韓国党」や「国民の党」の候補を下して当選した。今回の大統領選は、朴前大統領の不正発覚・罷免を受けて繰り上げられたもの。朝鮮半島は、米国による戦争挑発で緊張が高まっていたが、文氏は朝鮮との対話を主張して支持を集めた。また、慰安婦問題をめぐる日韓合意の再交渉も掲げ、同合意に批判的な国民の支持を得た。経済政策でも、財閥・大企業主導の政策からの転換を訴えた。対朝鮮圧殺で日韓との協力強化をめざしていた米国には痛手だ。


FBI長官更迭でトランプ政権混迷
 トランプ米大統領は九日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官を更迭した。理由は、ロシアとトランプ政権の関係に関する捜査を妨害するためとも、クリントン元国務長官の「メール問題」に関する捜査の責任を問うたとも言われる。FBI長官任期は十年と長く、途中解任はきわめて異例。ニクソン元大統領が盗聴事件捜査を妨害した例になぞらえ「第二のウオlターゲート事件」と呼ぶ動きもあり、政権への批判がさらに高まっている。


米ロ、関係改善見通せず
 トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は二日、米軍のシリア空爆後初となる電話での協議を行った。焦点のシリア内戦問題では「テロ対策」「停戦」に向けて協力することで一致、米側はロシア主導のシリア停戦会議に特使を派遣することを発表、米国の空爆で冷え込んだ関係を一定改善させた。だが、朝鮮半島情勢をめぐってロシアが米国の自制を求めるなど相違が目立ち、本格的な関係改善はいまだ見通せない。

人民のたたかい

(4月30日〜5月9日)


  フランス・パリで九日、マクロン新大統領に反対する人びとが抗議デモを行った。
 韓国南部の星州で三日、在韓米軍が配備を強行した終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備撤回を求める集会が行われ、地域住民を中心に約二百人が参加した。
 アルゼンチンのブエノスアイレスで四月三十日、一九八三年まで続いた軍政による行方不明者の真相究明を求めるデモが行われた。

<世界のメーデー>
 ドイツのメーデーは約五百都市で行われ、約三十六万人が参加した。ドイツ労働総同盟(DGB)は中央集会を産業構造変化で多くの失業が生まれている西部の旧炭鉱都市ゲルゼンキルヒェンで開催、大企業による低賃金、非正規労働の増加に抗議した。
 フランスでは全国約三百都市で計二十八万人がデモに参加、大統領選の決選投票を控える中、労働総同盟(CGT)と労働者の力派(FO)など四労組が共同で呼びかけ開催された。参加者は極右・国民戦線(FN)のルペン候補への抗議とともに、労働規制や解雇規制緩和を主張するマクロン候補に対しても批判、「自由主義(マクロン)とファシズム(ルペン)にノン」と訴えた。また、青年が制動する警察隊と衝突、火炎瓶などで応戦した。
 米国では百都市以上でトランプ政権の排外的な移民政策に抗議するデモや集会が行われた。ワシントンでは「移民と労働者の行進」が行われ、数千人が参加、「トランプこそ強制送還だ」との声が上がった。
 韓国の民主労総が開いた集会はソウルや仁川など全国十五カ所で開かれ、約三万人が参加した。ソウルの集会では「大統領の退陣を勝ち取って迎えたメーデー」と意気高く、最賃アップ、非正規職撤廃、財閥解体などのスローガンが掲げられた。
 トルコのイスタンブールでは、エルドアン大統領の権限強化を決めた四月の国民投票の結果に抗議し、「メーデー万歳。独裁者にノーを」と書かれた横断幕を掲げたデモが行われた。。

日本のできごと

(4月30日〜5月9日)

安倍首相、改憲「20年施行」を明言
 安倍首相は五月三日、改憲団体の会合にメッセージを寄せ、「二〇二〇年を新しい憲法が施行される年に」と表明した。憲法九条に自衛隊の存在を加え、「教育無償化」導入も示唆(しさ)した。「加憲」を掲げる公明党や日本維新の会に秋波を送り、対米従属下の大国化のため「改憲世論」をあおる狙い。国会の憲法審査会での論議が思うように進んでいない焦りのあらわれでもある。「読売新聞を読んでほしい」などというふざけた答弁に終始する首相に対し、「もう少し慎重に」(船田衆議院憲法審査会幹事)など、自民党内からさえ批判が出ている。

初の米艦防護、日米同盟強化さらに
 海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」などが一日、稲田防衛相の命令に基づき、房総半島沖で、米海軍補給艦を護衛する「武器等防護」任務に入った。安保法制に基づく新任務で、実施は初めて。安倍政権は実施を公表さえせず、国会答弁でも答えなかった。米国による朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への圧迫強化を口実に、日米同盟のいちだんの強化、軍事一体化を進める危険なものだ。

「国民保護」で朝鮮の脅威あおる
 政府は九日、朝鮮の弾道ミサイルに備えるとして、全国瞬時警報システム(Jアラート)の運用を変更すると発表した。従来の「日本の領土・領海内に落下する可能性がある場合」だけでなく、米軍が「通過する可能性」を通報した時点で、国民に「避難」を呼びかけるというもの。朝鮮の「脅威」を口実に、あの手この手で有事体制づくりを進めようというものだ。

米国が鉄鋼で対日制裁
 米政府機関の国際貿易委員会(ITC)は五日、日本、台湾など八カ国・地域に対して炭素合金鋼のダンピング(不当廉売)を認定、日本製鋼材は最大四八・六七%の関税を課される。ロス米商務長官はメキシコや日本への貿易赤字を名指しし「耐えがたい水準」とも述べたほか、中国製品にも関税を課す意向を表明した。トランプ政権による、他国に犠牲を押し付けての経済再建策が、本格化しつつある。

TPP11、溝があらわに
 環太平洋経済連携協定(TPP)の参加十一カ国は二日、カナダで首席交渉官会合を開いた。米国の離脱後初の実務協議で、日本はオーストラリアなどと組んで各国の「説得」をもくろんだ。だが、ベトナムは米越自由貿易協定(FTA)を優先して慎重、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を控えるカナダやメキシコはあいまいな態度で、ペルーなどは中国の参加を望んでいる。主導権確保を狙う安倍政権だが、溝が露呈し、合意のあてはない。

アジア開銀総会開かれる
 横浜市で開かれていたアジア開発銀行(ADB)総会が七日、閉幕した。総会は、「反保護主義」などで合意した。ADBは米日主導の機関だが、総会では「過度な借り入れはもうできない」(インド)など、ADBへの注文が相次いだ。他方、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)などで存在感を高めた。中尾ADB総裁も「AIIBと協力」と言わざるを得ないほど、力関係の変化を印象づけた。

地方公務員の残業深刻に
 総務省は二日、地方公務員の残業に関する調査結果を初めて発表した。一五年度の都道府県と主要市の公務員一人当たり時間外労働時間は一五八・四時間で、民間事業所の一五四時間を上回った。「過労死レベル」とされる月八十時間以上を強いられた職員は約五万人(一・一%)。多くの自治体では出退勤時間は自己申告制で、調査結果は「氷山の一角」。「財政危機」を口実とする攻撃で、公務員の労働環境は著しく悪化している。


残業代支払いと同時に裁量労働制へ
 音楽大手エイベックスは一日、裁量労働制の導入を決めた。同日、約一千五百人の従業員の半数への未払い残業代、約十億円を支払うことと同時に発表した。「残業時間の上限規制」に対応した動きで、ヤマト運輸も約四万七千人以上への支払いを決めた。支払いは当然だが、違法行為を犯した経営者が罰せられた例はなく、裁量労働制導入となれば大多数の労働者には賃下げにつながる。「働き方改革」の狙いの一端を示してもおり、闘いが必要だ。


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