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労働新聞 2016年12月5日号 トピックス

世界のできごと

(11月20日〜11月29日)

APEC、米中の力関係変化鮮明に
 ペルーの首都リマで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)は十一月二十日、「自由貿易の促進」「保護主義への対抗」を訴える首脳宣言を採択した。またアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向け、各国が遅くとも二〇二〇年までに課題を共同で検証することを提言する「リマ宣言」を承認した。だが、トランプ次期米大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)からの即時離脱を表明、議長国のペルー・クチンスキ大統領が「米国抜きの協定も」と発言するなど米国が存在感を示せないなか、中国は自国主導の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を大いにアピールした。まさに攻守入れ替わった光景であり、アジア太平洋地域におけるパワーバランスの急激な変化を印象付けた。

朴韓国大統領が「辞任」表明
 友人による国政介入疑惑で国民の批判を受けていた韓国の朴大統領は二十九日、一八年二月の任期満了前の辞任を表明した。ただ、辞任時期は明示せず、政権移譲に向けた与野党合意を条件とするなど辞任への道筋は不透明。野党と与党の一部による弾劾訴追案の国会採決が迫る中での表明で、弾劾回避に向けた悪あがきとの指摘もある。辞任を求める集会は回を重ねるごとに参加者が増え、二十六日には二百万人に達した。疑惑への怒りと併せて、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備や貧困の拡大など、国民の怒りは頂点に達していた。大統領の表明で、日米韓同盟にも暗雲が立ち込める状況となった。

カストロ前議長死去、圧迫続ける米国
 キューバ革命を指導したカストロ前国家評議会議長が二十五日、死去したことを、実弟でもあるラウル・カストロ議長が発表した。前議長は五九年一月に当時の新米政権を打倒した。キューバ危機などの米国の圧迫と転覆策動と闘い続け、ソ連崩壊後、多くの政権党が屈服する中で「社会主義を守り続ける」(九一年共産党第四回大会)立場を堅持してきた。米国とは昨年四月に国交を回復させたが、トランプ次期政権は無効化の動きを示すなど、米国の圧迫と干渉は続いている。二十九日に首都ハバマで開かれた追悼集会に参加した数十万人の国民は、独立と社会主義の堅持の決意を示した。

欧州とトルコ、対立激化
 欧州議会は二十四日、欧州連合(EU)加盟に向けたトルコとの交渉を中断することを求めた決議を採択した。七月のクーデター未遂事件を発端とした同国のエルドアン大統領による弾圧を強くけん制するもの。これに対し、トルコは「EUに固執する必要はない」(エルドアン大統領)と反発、中国やロシア、中央アジア各国が加盟する上海協力機構(SCO)への加盟も示唆(しさ)した。また、中東から欧州に向かう難民の流入抑制策の合意崩壊も予想される。

人民のたたかい

(11月20日〜11月29日)


 インドで二十八日、モディ政権による高額紙幣無効化に抗議するデモが各地で行われた。銀行口座を持たず、現金収入に頼る「貧困層への拷問」との怒りの声を受けて、南部ケララ州ではゼネストで交通機関が停止、西部グジャラート州でも農業労働者らが抗議の座り込み行動を行った。
 米国全土で二十九日、ファストフードチェーンや空港職員らが、最低賃金を時給十五ドル(約千七百円円)へ引き上げることを求めるとともに、組合の権利獲得を求めてデモなどを行った。ニューヨークではウォール街にあるファストフード大手マクドナルドの店舗前に約五百人が集まり、要求実現へ声を上げた。
 ドイツで二十三日、ルフトハンザ航空のパイロット労組が賃上げを求め、ストライキを行った。ストは断続的に行われ、二十九日までに四千四百六十一便が欠航した。

日本のできごと

(11月20日〜11月29日)

国会延長、年金削減法案などたくらむ
 国会会期を十二月十四日まで延長することが十一月二十九日、決まった。同日、自民、公明、維新の賛成多数で衆議院を通過した年金制度改革関連法案、環太平洋経済連携協定(TPP)承認、統合型リゾート施設(IR)整備推進法案(カジノ法案)などの成立をめざしている。年金改革法案は、物価が上がって現役世代の実質賃金が下がった場合、年金額を減額することを柱とする、事実上の年金削減法案。安倍政権は会期延長で「実績づくり」をもくろむが、国民犠牲は強まる。

全農改革案を決定
 政府の「農林水産業・地域の活力創造本部」は二十九日、JA全農の組織改革を柱とする「農業競争力強化プログラム」を正式決定した。全農に生産資材の販売価格引き下げのための競争入札の導入などを求めるほか、生乳流通の自由化を進めるなどの内容で、来年の通常国会に関連法案を提出する。農村現場の強い不満に押され、規制改革会議が打ち出した強制的改革の色彩は薄れたが、政府が改革の進ちょく管理を行うなど、全農の自主性を妨げ、政治力をそぐ意図は貫徹されている。

日韓軍事情報協定を締結
 日韓両政府は二十三日、「朝鮮の核・ミサイル」を口実に、防衛機密を共有できるようにする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結した。韓国政府は「日本のタイムリーな(衛星)映像情報を直接共有できる」などと意義を強調、交渉再開から一カ月足らずでの締結となった。だが、野党の反対に加え、朴政権が「死に体」となるなかでの「駆け込み署名」で、韓国政府は「(日本政府の)歴史わい曲」を持ち出して言い訳せざるを得なかった。対米従属の安倍政権がもくろむ、中国けん制のための日米韓同盟の強化の一環だが、持続さえ危うい。

ロシア、北方領土に新型ミサイル配備
 ロシア通信などは二十二日、ロシア太平洋艦隊が北方領土の択捉島と国後島に新型の地対艦ミサイルを配備したと報じた。千島列島は地政学上の要衝で、ロシアは北極圏とアジアを結ぶ航路の防衛拠点と位置付けている。発表は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)での安倍首相とプーチン大統領の会談直後、来月には大統領の訪日を控えるなかでの措置で、ロシアの実効支配強化への意思を示すもの。岸田外相は「適切な対応を考えたい」と、弱腰に終始。首脳会談で領土問題解決への道筋を示し、政権浮揚に利用したい安倍政権の思惑ははずれつつある。

新任務付与の南スーダンへの派兵
 安全保障法制に基づく「駆けつけ警護」などの新任務が付与された、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊の先発隊約百三十人が二十日、青森空港を出発した。約半年間、道路整備などに当たるが、「駆けつけ警護」や他国軍との「宿営地の共同防護」の新任務は、米国の世界戦略を支え、海外での本格的な武力行使に道を開くものだ。

福島22兆円以上の国民負担に
 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉にかかる費用の八兆円程度に見通しとなったことが、二十九日までに分かった。溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しが難工事になることが理由だが、東京電力が当初見込んだ二兆円をはるかに超える。作業は四十年近くかかるとされ、被災者への賠償や除染、汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備費用などを含めると二十二兆円を超える。これらは従来以上に、国民に転嫁されることが確実。東電経営者と、旧民主党を含む歴代政権にこそ責任を取らせるべきである。

都知事、豊洲問題で処分発表
 小池・東京都知事は二十五日、豊洲市場の盛り土問題をめぐり、当時の局長級など計十八人を減給とした。知事は「今後人事上の措置も講じる」と、更迭の可能性も示し、自らも二割減給するとした。盛り土をするという都の決定に反するとともに、議会などで虚偽答弁を行ってきたことが理由。処分は当然だが、元市場長の中西副知事を留任させるなど、歴代都政のウミを出す点できわめて不十分。処分は、知事の掲げる「都庁全職員の粛清」という、締め付け強化という危険な狙いもある。知事はまず、豊洲移転を撤回すべきである。


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