労働新聞 2002年12月5日号 トピックス

世界のできごと

(11月20日〜11月29日)

イラクへの査察始まる
 国連査察団17人によるイラクへの「大量破壊兵器」査察が、11月27日から始まった。査察対象は2000カ所にも及び、国家主権を無視し抜き打ち的に行われている。査察団は年末までに規模を100人にまで拡大、大統領宮殿などに対しても行う予定。査察自身がイラクへの重大な内政干渉だが、米国は査察結果にかかわらず、あくまでイラクへの軍事攻撃を行う構えだ。

NATO拡大、イラク問題で米と開き
 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が21日、チェコのプラハで開幕した。会議では、ブルガリア、リトアニアなどのバルト・東欧7カ国の加盟を承認した。NATOは「対ソ」を目的に創設されたが、冷戦終結により、その存在意義を問われていた。ロシアはNATOの東方拡大に反対してきたが、米国に屈服を深めるプーチン政権は、事実上黙認した。米国は自国戦略上重要な中央アジア、中東に近いブルガリアやルーマニアなどの加盟を推進、2万1000人規模の即応部隊創設も決めた。しかし結局、肝心のイラク問題では米国の思い通りにはならず、「国連決議を支持する」声明を採択したものの、軍事行動への参加には、ドイツをはじめ諸国が反発した。

米ロ首脳会談、屈服深めるロシア
 米ブッシュ大統領は22日、ロシア・サンクトペテルブルクでプーチン・ロシア大統領との会談した。会談で、プーチン大統領は、米国によるイラクへの軍事行動を容認した。ロシア側は米国が叫ぶ「テロとの闘い」にチェチェン問題を含めることで、チェチェン独立問題でより強硬な態度に出ることを狙っている。また首脳会談では、米国資本によるロシアでの油田採掘や、イラク攻撃後の中東での石油確保を両国の協力の下で進めることなどを決めた。ロシア・プーチン政権は、米国への屈服を重ねている。

エクアドル大統領選、経済危機が反映
 中南米・エクアドルの大統領選の決戦投票が24日、行われ、汚職の一掃、貧困層救済などを掲げる愛国社会党のルシオ・グティエレス元陸軍大佐が当選した。エクアドルでは、2000年に実施されたドル化政策で自国通貨を廃止したが、交換レートの急変で経済が悪化、国民の8割が貧困層となっていた。また同国には、中米最大の米軍基地がある。グティエレス氏は当初、ドル化政策を批判、米国が創設をめざす米州自由貿易圏(FTAA)についても慎重な姿勢を示していた。先のブラジル大統領選でも、米主導のグローバル資本主義に追随する政権に対して、国民の不満が噴出していた。しかし、グティエレス氏の公約は徐々に後退しており、国民にどれだけこたえられるか問われている。

人民のたたかい

(11月20日〜11月29日)

 イタリアの自動車最大手フィアットが計画している約8000人の解雇計画の撤回を求めて26日、イタリア各地の同社工場で約8時間のストライキが打たれた。ローマでは同社や下請け会社の労働者を中心に、全国から約2万人の労働者が集まりデモ行進を行った(写真)。集会には、本社はあるトリノなど、地域経済への影響が懸念される自治体の代表も参加した。
 フランスで26日、公共交通機関の職員によるストライキが行われた。パリの主要2空港は、管制官のストで大半の運航を中止した。また、地上でも公共交通機関の職員の多くがストに参加した。また、パリでの約6万人など、全国各地で、保守・ラファラン内閣が打ち出した公的年金制度改革や国営企業の民営化などの経済改革案に対する、反対デモが行われた。
 韓国・ソウルで、米軍法廷が2人の女子中学生をれき殺した米軍兵士に無罪判決を下した翌日の23日、糾弾大会が行われた。集会終了後、学生200人が「ジョージ・ブッシュは謝罪しろ」などのシュプレヒコールをあげながらデモ行進を行った。

日本のできごと

(11月20日〜11月29日)

米国のイラク攻撃支援要求に従う政府
 米政府は11月21日までに、日本政府に対し、米国がイラク攻撃に踏み切った場合に「支持」を表明することや、具体的な軍事支援を検討するよう要求した。米国は、哨戒機P3Cの派遣や米英艦船以外への給油、イージス艦派遣について圧力を加えている。すでに海上自衛隊のインド洋派遣延長などを閣議決定している小泉政権は、米国の要求を受けて23日、「難民救援」やイラク政権の転覆を想定した「復興」支援という、米軍支援策の骨格を固めた。政府は24日に谷内官房副長官補を米国に派遣、アーミテージ米国務副長官らと協議に入った。イージス艦派遣について自民党内には根強い反対論もあるが、福田官房長官は米国の要求に従う意向を示し、公明党の冬柴幹事長も賛成を表明した。政府は、わが国の進路にとって危険な対米支援を強化しようとしている。

デフレ対策にほど遠い補正予算
 政府・与党は21日、02年度補正予算の骨格をまとめた。補正規模は約6兆2000億円で、約5兆円が国債に依存する。3兆円が景気回復に寄与するとしているが、デフレ対策にはならないとの批判が、与党の中からさえ出ている。公共投資は都市部の再開発など都市再生を目玉にしており、地方からの反発も予想される。雇用対策や中小企業対策などいわゆる「安全網」予算は1兆5000億円だが、雇用対策はこれまで成果が乏しいと指摘された企業支援などの政策の延長、不良債権処理に伴う失業者増を前提にするなど、アメとムチの政策が露骨。小泉政権は、「構造改革」を進めろとの財界の方針に沿いながらも、深刻な経済のもとで補正予算編成を余儀なくされた。だが、補正予算が景気回復につながる保証はない。

保守2大政党制画策強めるも鳩山辞任
 民主党の鳩山代表と自由党の小沢党首は27日、両党が合流する構想を明らかにした。これは流動化する政局の中で、保守2大政党制への思惑を込めた画策であり、鳩山には自らへの退陣論をかわす狙いもあった。鳩山の思惑ははずれ民主党内は混乱、鳩山は退陣を余儀なくされた。一方、連合は28日、両党の合流構想を支持する方針を固めた。支配層の安定的支配のための保守2大政党制を暴露し、闘うことが求められている。

全国町村議長会が強制合併反対を決議
 全国町村議長会は20日に全国大会を開き、「地方制度調査会」(首相の諮問機関)が小規模町村の権限を縮小したり、他の自治体に強制編入するなどの合併強制策を打ち出していることに反対する特別決議を採択した。特別決議では、「町村の自治破壊は認めない」と、政府を強く批判した。小泉政権の地方切り捨てには地方からの反発が強まり、21日には全国知事会、全国市長会など地方六団体も「地方税源充実確保全国大会」を開いた。(関連記事1面)

自民税調、課税最低限下げ打ち出す
 自民党税制調査会の方針が28日明らかになった。所得税の課税最低限度額(現在約384万円)を引き下げることや、中小商工業者の消費税納付の免税点(現行3000万円以下)も引き下げる内容。さらに、配偶者特別控除の縮小や、高校生や大学生の子を持つ親の負担に配慮した特定扶養控除の縮小・廃止論も出ている。すでに6月に政府税調が大企業優遇、国民大増税の基本方針を打ち出しているが、自民党の方針は、とりわけ社会的弱者を狙い打ちにして増税をはかり、大企業減税の財源としようとする許しがたいもの。外形標準課税の導入に反対する中小企業が闘いを起こしているが、今回の自民党税調の方針には与党内からも不満が噴出しているほどである。

10月の失業率、過去最悪の5.5 %
  29日発表された10月の完全失業率は、過去最悪に並ぶ5.5%となった。男性の失業率は5.9%で過去最悪を更新した。失業者数は362万人で、19カ月連続で増加した。15歳から24歳の若年層の失業率が8.8%と高いのも特徴。一方、厚労省は22日、失業手当給付の率、日数の削減や職業訓練給付の縮小などを盛り込んだ「雇用保険改革」最終案をまとめた。厳しい状況に置かれている失業者に追い打ちをかける、断じて許せないものだ。


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