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2017年9月25日号 1面・社説

先進的労働者は、解散・総選挙に
いかに臨むべきか

  安倍首相は、九月二十八日に召集される臨時国会の冒頭で衆議院を解散、総選挙が行われる見通しとなった。突然の解散表明に意表を突かれた各党は、「十月十日告示、十月二十二日投票」を想定し、準備に大わらわである。
 今回の突然の解散が、野党が指摘するように、「森友・加計の疑惑隠し」で党略的な、何一つ大義のない暴挙であることは、その通りである。だが、危機下での党派闘争の厳しさは、世界各国で相次ぐ劇的政変が示している通りで、議会政治はそれを覆い隠しているにすぎない。泣き言は許されない。
 今回の解散・総選挙は、内外情勢と国民の怒りに追い詰められ、党内からも不満が高まり始めた政権の延命策動である。
 政権発足から五年弱、アベノミクスの下で国民生活はいちだんと悪化、格差の拡大、貧窮化が進み国民の不満が高まり、安倍政権は民心を失っていた。今年一月には「米国第一」を掲げるトランプ政権が登場し、安倍政権の基本戦略は総崩れとなった。これらを背景にして、森友・加計疑惑なども重なって七月の東京都議選では自民党の歴史的惨敗となり、内閣支持率は一時三〇%台に落ち込んでいた。
 安倍政権は、総選挙で野党の弱点を突き、緊張高まる朝鮮情勢を最大限利用し、「対北圧力への基盤強化」などと言って、国民を引き付ける政治的術策で選挙戦に勝利し、主導性を取り戻そうとしている。これは、政権党である自民党がその立場を利用して、安全保障、外交などの民族的課題を前面に掲げることで、国民の「中間層」を引き付け選挙に勝利してきた常とう手段である。安倍首相はその「うまみ」を最もよく知る政治家の一人である。今回は、かつてない窮地に立っているだけに、これまで以上にこの策略で野党を攻めたてるに違いない。
 安倍自民党に打ち勝とうとするなら、この政治的術策が国民に与える幻想を徹底的に暴露し、打ち破らなければならない。行き詰まった対米従属政治からの脱却、独立・自主の国の進路を、第一に争うべき真の争点として前面に押し出して闘うべきである。
 安倍自民党は、この内政・国民生活の問題でも、とりわけ子育て世代受けを狙った教育無償化など「全世代型社会福祉」等々で、有権者の票をかすめ取ろうとしている。したがって、それに対する批判と政策的対抗軸の提示も重要である。
 わが党は、今回の総選挙には長期的戦略から、独自候補を立てて闘わず、原則としてどの党派も支持しない。しかし、労働運動、国民運動の発展に有益な候補者については積極的に支援する。
 戦略的展望に立ち、政策的対抗軸を鮮明にして、労働者をはじめとする国民各層の要求を基礎に現実の階級闘争を発展させ、独立・自主の政権を打ち立てる広範な政治勢力の形成に全力を挙げる。

1、解散・総選挙の挙に出た背景と狙い
 安倍首相は、なぜこの時点で解散・総選挙の挙に出たのか?
 政局という狭い範囲では、内閣支持率の回復、民進党前原代表の選出と「野党共闘」の停滞、離党者の続出、いわゆる小池新党の準備不足など野党側の混迷を見て、「今がピークで後に好機なし」と解散に踏み切ったのは間違いない。
 だが、われわれは安倍政権が議席減を覚悟して解散に踏み込まざるを得なかった、より深い背景を見抜いておかねばならない。
 それは、安倍政権の五年弱にわたる悪政の結果、国民各層の中で高まった国民の怒りである。
 政権発足当初から「強い日本を取り戻す」を最優先課題として「経済再生」を掲げたが、デフレ脱却はできずアベノミクスは完全に破綻した。日銀による金融緩和は限界で、財政危機も深刻さを増している。
 アベノミクスの収奪政策で、多国籍大企業と投資家は、資産効果と減税でぼろもうけする一方、労働者、国民は、ますます貧困化させられた。消費税増税、円安・物価高によって労働者の実質賃金、可処分所得は減った。非正規、低賃金労働者が増え、格差は拡大、貧窮化が進んだ。農民や中小商工業者の経営は困難を極め、地方は疲弊する一方であった。
 外交・安保政策では、「強い日本を取り戻す」と「独立」を装いながら、米国のアジア戦略に追随し、安保法制など日米軍事一体化をいちだんと推し進め、「対中国」の矢面に立たされてきた。さらに、沖縄県の辺野古への新基地建設、オスプレイの配備、原発再稼働、「共謀罪」など、対米追随の下で軍事大国化の策動を強めてきた。
 今年一月、米トランプ政権の誕生はこうした安倍政権の内外政治を制約したが、安倍は従来以上に米国の無謀な戦略に加担した。朝鮮半島の緊張を高め、国民の命と財産を危険にさらすことになった。
 国民の怒りが全国に広がり、沖縄県民をはじめとする闘いが頑強に闘われている。
 財界からも財政健全化の立ち遅れ、デフレ不況の継続、潜在成長率の停滞など安倍政権に対する不満が高まっている。経済同友会の一部には安倍首相の対米追随外交への懸念が出てきている。
 昨年の参議院選挙での「東北甲信越の乱」に続き、七月の都議選での自民党の歴史的惨敗が重なって、「安倍一強」に弔鐘が鳴り始めた。これは、安倍政権の対米従属路線が完全に行き詰まったことを意味する。
 窮地に立った安倍首相は、政権の延命を意図して解散に打って出ざるを得なかった。
 だが、闘うわが方にとっては、行き詰まった対米従属政治、「日米同盟強化」路線に代わる対抗軸、「独立・自主」の国の生き方を真の争点として掲げ、国民の支持を求めて争う局面に至っていることを示している。

2、朝鮮危機を最大限利用した安倍政権の政治的術策を打ち破ろう
 警戒して対処しなければならないことは、安倍政権が延命するために、朝鮮危機を最大限利用し、「朝鮮の脅威」を煽(あお)って、「対北圧力への基盤強化」などと言い、国民を引き付ける政治的術策で、選挙戦を有利にしようと画策していることである。
 これは、政権党である自民党が選挙戦で野党の弱みに付け込んで、勝利するために用いてきた常とう手段である。過去にも安全保障、外交などの民族的課題を国連演説や日米首脳会談などで掲げることで、国民の「中間層」を引き付け選挙に勝利してきた。
 例えば、一九六九年の総選挙では、当時の佐藤政権が「沖縄の返還なしに戦後は終わらない」と言って、七〇年安保闘争が高揚した中でも、選挙に勝利した。安倍自民党が二〇一二年十二月の総選挙で「勝利」し、政権を奪還した時にも、尖閣諸島問題を突出させ、中国脅威論を煽り、「日米同盟を取り戻す、強い日本を取り戻す」と訴えて、多数の有権者の票をかすめ取った。以来、こうした国民欺瞞(ぎまん)の政治術策は、安倍首相が最も意識的に多用する術策となっている。
 最近の国連演説で、トランプ大統領が、有事になれば「朝鮮を完全に破壊する」と軍事力行使の脅しをかけたのに呼応して、安倍首相はほとんどの時間を朝鮮問題に割いて発言した。「今や脅威は重大で差し迫ったものだ」と煽り、「必要なのは対話ではない。圧力だ」と言い放った。
 これは、解散・総選挙の意向を表明した後の発言であり、それは国連という大舞台を使った、国内向けの「選挙演説」であったと言っても過言ではない。その映像はテレビを通じて長々と有権者に送られ、他に比べようのない効果を持ったに違いない。
 したがって、安倍自民党に打ち勝とうとするなら、この政治的術策が有権者の意識、投票行動に与える影響を特別に警戒し、その政治的狙いを徹底的に暴露して、政策的対抗軸を鮮明にして、支持を争わなければならない。民進党も、共産党もこの点で安倍に完全に主導権を奪われている。
 安倍政権の対米従属政治、「日米同盟強化」路線は、朝鮮危機のチキンレース、緊張の中で明らかになったように、わが国の安全を守るどころか、米国の安全保障のために、わが国をその矢面に立たせ、いったん有事となれば、真っ先に戦渦に巻き込まれることとなる。「米国の核の傘」は、もはや「拡大抑止力」の役割を果たせなくなっている。こうした意味でも、対米従属政治は、行き詰まった。
 したがって、「日米同盟強化」路線は、わが国の安全を守るという幻想を暴露し、亡国に導くと批判して、それに代わる独立・自主、平和の政策的対抗軸を前面に押し出し、有権者の支持を争わなければならない。

3、労働運動を基礎に独立、平和を勝ち取る国民運動を
 資本主義の末期症状が露呈する下で、世界は経済でも安全保障・外交でも深刻な危機に陥り、内外の諸矛盾が先鋭化、対立と闘争が激化している。
 世界は歴史的な転換期にある。
 戦後世界を支配してきた米国の力が衰え、国際政治での指導力も急速に低下した。貧困と格差拡大で米国社会は分裂し、すでに「内戦」の状況を呈している。
 トランプ大統領は、「強い米国の復活」を目指して、「米国第一主義」の旗を掲げ、他国に犠牲を転嫁して、巻き返しを図ろうとしている。世界の支配層は従来通りにはやっていけなくなってきている。
 世界はまさに「戦争を含む乱世」の様相をますます濃くしている。
 こうした激変する世界で日本はどう生きるのか? 安倍政権のように対米従属政治、日米同盟強化の路線で日本の国家主権も、独立自主外交も、日本・アジアの平和と国民の「安心・安全」も守ることはもはやできない。
 安倍政権は対米従属で、一握りの多国籍企業の覇権的利益に奉仕する政治である。安倍政権に国の政治を任せている限り、日本はいずれ滅びる。
 労働者階級が帝国主義と戦争政策に反対し、独立と平和の旗を掲げて闘い、国民運動の先頭に立って安倍政権を倒さなくてはならない。
 安倍政権を打倒するためには、労働者階級が賃金や雇用など自己の利益のために闘うのは当然であるが、同時に民族的な課題、国の進路の課題でも積極的に闘うことが必要である。労働者階級が主導権を争って、安倍政権のニセの独立、欺瞞的な術策を暴露して闘い、安倍政権の権威に打撃を与え、政治的に失墜させねばならない。
 安倍の内外政治で苦しんでいる農民、商工自営業者、中小企業経営者など広範な国民諸階層の切実な要求を支持して闘い、政治的な統一戦線を構築する。支配層内部の利害対立・ひび割れを利用して、彼らを分化させ、一部を獲得し、独立・自主の国民的政権を目指し戦略的に闘う。それこそが勝利への道であり、展望がある。
 こうした闘いの前進のためにも先進的労働者の労働党への結集呼びかける。


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