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2017年5月15日号 2面・解説

共産党/トランプ声明に「注目」

米国美化、朝鮮敵視で平和に敵対

 トランプ米政権が朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への政治的・軍事的圧迫を強化し、北東アジア情勢は緊張している。安倍政権はこれに追随、国民の命と財産を危険にさらしている。緊張緩和・平和のための、国民的闘いが求められている。これを妨害する反動的役割を演じているのが、共産党である。「力による平和」を唱える米トランプ米政権を暴露・非難しない共産党を打ち破らなければ、アジアの平和とわが国の独立を実現することはできない。


 志位・共産党委員長は四月二十七日、その前日、トランプ米政権が発表した「共同声明」の「内容に注目している」と、好意的見解を表明した。

評価に値せぬ「共同声明」
 「共同声明」は、朝鮮に対する方針を説明したもので、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、コーツ国家情報長官によるものである。
 その内容は「(トランプ)大統領のアプローチは経済制裁を強化し、われわれの同盟国、地域パートナー国と共同した外交的措置を追求することで、朝鮮に圧力をかけ、核・弾道ミサイル、拡散計画を撤廃させる」「われわれは朝鮮政権に緊張を緩和し、対話の道に復帰するよう説得する」「米国は、朝鮮半島の安定と平和的な非核化を追求する」などというものである。
 要するに、朝鮮に経済制裁を含む外交的圧力をかけることで「核・ミサイル」を放棄させ、それを条件に「対話」しようというものである。要するに、「核・ミサイル」の放棄が前提でなければ朝鮮と対話せず、あくまで敵視と包囲を続けるという意味である。
 共産党は「注目している」などと肯定的に評価しているが、どうしてこれが評価できるのか。
 共産党は、声明が軍事的選択肢を排除しているかのように「評価」している。だが、声明発表の同日、トランプ大統領は上下両院議員に対し、改めて「軍事的選択肢」の可能性について言及している。声明にある「経済制裁を強化」「外交的措置」は、「軍事的選択肢」と矛盾しないのである。「戦争は外交の延長」(プロイセン王国の軍事学者・クラウゼヴィッツ)といわれ、「砲艦外交」という言葉もある。大国は常に、軍事力をちらつかせつつ外交を行ってきた。だからこそ、朝鮮は「経済制裁は宣戦布告と見なす」と反発しているのである。
 声明を「評価」する共産党の態度は、現実政治を知らないか、あるいは労働者の目を真実からそらそうとするペテンにすぎない。

米帝国主義を免罪、美化
 共産党は、朝鮮半島の危機の根源、責任の所在を見ていない。
 朝鮮戦争は休戦状態で、いまだ終わっていない。米国は一貫して朝鮮を政治的・軍事的に包囲・圧迫し、正統な国家として認めず、ときには「悪の枢軸」などとレッテルを張って先制核攻撃のどう喝をかけてきた。フセイン・イラク政権は、十数年にわたって米国の経済制裁を受け、言うがままに武装解除を進めた末に攻撃を受け、崩壊させられた。この事実を見た朝鮮が、国力を傾けて「核・ミサイル」を開発し、米国の包囲・圧迫を打ち破ろうとしたのは当然である。
 そもそも、「核・ミサイル」は朝鮮の主権の範囲内のことである。核不拡散(NPT)条約から脱退している朝鮮は、国際法上、核開発を制約される道理はない。人工衛星の開発・発射に関しては、朝鮮は宇宙条約を順守している。
 米国は、NPTに参加せず、核開発に成功したインド、パキスタン、イスラエルを事実上の核保有国として認め、協定さえ結んでいる。朝鮮に対する態度との「二重基準」には、甚だしいものがある。「核・ミサイル」は口実で、米国は世界支配を維持するため、自らに屈しない朝鮮を圧迫し続けているのである。

トランプ暴露せぬ犯罪性
 「米国第一」「力による平和」を掲げたトランプ政権の下で、朝鮮への包囲・圧迫はさらに強化された。トランプ政権は、経済再建と軍事力強化によって、危機に瀕した自国と世界支配を、他国と人民の犠牲によって再建しようとしている。政権誕生後、トランプ大統領は日をおかず、原子力空母を派遣して朝鮮を威圧、中国に朝鮮制裁へのいちだんの協力を求め、さらに諸国にも朝鮮との断交を含む制裁参画を求めた。自国の核戦力強化を決め、シリア、アフガニスタンへの無法な攻撃も行った。米国にとって、朝鮮半島をはじめとするアジアでの紛争は、大国化する中国をけん制し、アジアに米軍のプレゼンスを維持する上で、必要なことなのである。
 朝鮮半島の危機をつくり出しているのは、朝鮮ではなく、米帝国主義である。朝鮮に「核放棄」を求める前に、最大の核保有国である自国が核を放棄し、朝鮮への圧迫をやめ、在韓・在日米軍を撤退させ、平和協定を結んで朝鮮戦争を終わらせるべきなのである。
 共産党は、このような事実を見ず、米帝国主義を免罪、美化している。
 だが、隣国である韓国では、「条件が整えば平壌にも行く」と主張する文在寅政権が誕生した。韓国民は、緊張をあおる米国、それに追随する日本とは異なる道を選択したのである。東南アジア諸国も、米国からの朝鮮敵視の要求と一線を画す態度を貫いている。
 トランプ政権が冒険主義的策動を強めるなか、共産党による米国美化は、平和と独立を願う全世界・アジア諸国人民、日本国民の意思に反し、ますます犯罪的なものとなっている。


安倍政権「批判」も欺まん
 共産党は、米国を美化する一方、「日本だけが対話を否定」などと、安倍政権を「批判」している。
 安倍政権が対朝鮮強硬策で突出しているのは事実で、これと闘わなければならないのはいうまでもない。だが、安倍政権は米国のアジア戦略に追随し、その先兵役となっているのである。国民と国土を、米戦略のため「対朝鮮」の矢面に立たせる売国性を暴露しなければ、広い戦線で闘うことはできない。
 すでに述べたように、「外交的措置を追求」と「軍事的選択肢」は表裏一体である。共産党は、その実、朝鮮への制裁強化を主張する点で、安倍政権と同じ立場に立っている。
 朝鮮は「在日米軍基地を標的にする」と明言している。米軍と戦争状態にある朝鮮にしてみれば、「敵基地攻撃」は当然であろう。だが、これはわが国国土への攻撃となる。安倍政権はミサイル迎撃、あるいは「避難訓練」を行い、全国瞬時警報システム(Jアラート)を整備するなどして危機をあおっている。政府、自民党内には「敵基地攻撃」という話もある。集団的自衛権行使のための安保法制は、朝鮮半島の危機に際して「米艦防護」の任務が現実に発動された。共謀罪の成立ももくろまれ、安倍首相は「二〇二〇年までの九条改憲」に言及した。こうして、日米同盟強化と有事体制づくりが進められているのである。
 これらと闘おうとするとき、その口実の一つとなっている「朝鮮の脅威」論を打ち破らずに、個別課題への「反対」だけで闘えるはずもない。安倍政権による朝鮮敵視を事実上尻押しする共産党の態度では、日米同盟強化を進める安倍政権と闘えないのである。


民進党との共闘のため
 米国を美化する共産党の態度は偶然ではない。
 共産党は、保守政党との連立による政権入りを公然と打ち出した、一九九七年の第二十一回党大会以降、米国美化を進めた。冷戦崩壊後、米国が中国へのけん制強化を戦略課題とした「東アジア戦略」を暴露せず、さらに二〇〇四年の第二十三回党大会では、事実上、「世界に帝国主義はなくなった」という立場を取るに至った。
 ここから、米国のアフガニスタンやイラクへの侵略を「早すぎた」などとしてしか「批判」しない態度が導き出されたのである。
 共産党は修正主義者の堕落の必然的帰結として、政権入りのために「米国の認知」を得ようと願っているのである。
 それだけではない。共産党は、民進党との「野党共闘」、将来的な政権入りのため、当面の選挙協力の実現に血道を上げている。「日米基軸」で日米安保条約を容認する民進党との共闘のためには、従来以上に、米国を批判するわけにはいかないのである。
 共産党が主張する「外交的解決」、果ては「平和」はニセものである。帝国主義に抗し、民族の独立を守ろうとしている朝鮮に対する「制裁強化」を呼号しての「平和」とは、噴飯物以外の何物でもない。
 先進的労働者は、このような共産党に幻想をもつことはできない。米国に恭順する共産党への幻想を捨て、断固たる大衆闘争を発展させなければならない。(O)


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