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2017年3月15日号 2面・社説

緊張高まる朝鮮半島

米日の戦争策動に反対し、
アジア・日本の平和を
 即時の日朝国交正常化へ、
世論と運動を呼びかける

 米韓両軍は三月一日、史上空前の米韓合同軍事演習を朝鮮半島周辺海域で開始した。海上自衛隊も七日から、東シナ海で原子力空母を含む米海軍と共同訓練を始めた。トランプ米政権は、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への武力行使の可能性さえ公言している。
 朝鮮は六日、弾道ミサイル四発を発射した。自国の安全を守るための当然の対処である。朝鮮は「在日米軍が目標」と明言した。
 安倍政権は米国に追随し、朝鮮敵視で突出する役割を買って出た。衆参両院は、朝鮮非難決議を全会一致で可決した。共産党は、この策動を支える反動的役割を果たしている。
 朝鮮半島・アジアの緊張は高まり、新たな局面に入った。
 危機の元凶は朝鮮ではない。米帝国主義と安倍政権の朝鮮圧殺攻撃の激化が、戦争の危機を高めているのである。安倍政権は、日本国民の生命と財産を惨禍(さんか)の縁にさらしている。
 政党、政治家は旗幟(きし)を鮮明にしなければならない。
 米韓両国は合同軍事演習を即時中止せよ! 米国は朝鮮敵視政策をやめて対話のテーブルに着け! 安倍政権は敵視と包囲政策をやめよ! 即時・無条件の日朝国交正常化を!
 わが党は、平和のための世論形成と国民運動を呼びかける。

朝鮮半島危機の根源は米国に
 朝鮮半島危機の根源は、米帝国主義とその追随者による朝鮮敵視政策にある。
 朝鮮戦争は一九五三年以来「休戦状態」で、いまだ終わっていない。米国は朝鮮を正当な国家として認めず、核兵器を含む米軍で包囲し、体制転覆を策動してきた。朝鮮は、米国に「平和協定」締結で戦争状態を終わらせることを求め続けてきた。
 日本は米国に追随、加担し、出撃拠点となった。こんにちでは突出した役割を果たしている。
 二〇〇六年の朝鮮による最初の核実験は、「テロ支援国」認定解除など、米国の一定の譲歩を生んだ。
 オバマ前政権は「アジア・リバランス戦略」を策定、台頭する中国へのけん制を強化した。対朝鮮では「戦略的忍耐」を掲げ、朝鮮が核・ミサイル開発を放棄しない限り交渉しないとする強硬政策を採った。
 米国が敵視政策をやめさえすれば、危機は去るのである。
 韓国では、対米追随で対朝鮮強硬の朴政権が倒された。新大統領の下で、対朝鮮政策、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)システム配備などでの政策見直し、転換の可能性が高まっている。危険な東アジア情勢を転換する好機でもある。

トランプ政権下の対朝鮮強硬策
 一月末に誕生したトランプ新政権は、オバマ前政権時代の「戦略的忍耐」という対朝鮮政策を転換させようとしている。
 トランプ政権の課題は、米国の金融的「繁栄」と軍備増強で衰退を巻き返し、世界支配を維持することである。当面の重点は、自国経済の再生である。これは、世界を「地獄の道連れ」にしかねないものである。
 このなかで、米国は朝鮮に対する武力攻撃のオプションを持ちながら、包囲と圧迫を強化している。トランプ政権は、「重大な脅威」の筆頭に朝鮮を名指しした。朝鮮半島に危機をつくり出すことは、隣国・中国をけん制する策動の重要な一環だからでもある。
 現在行われている米韓合同軍事演習は、金正恩委員長など指導部の殺害を目的とする「斬首作戦」のほか、THAADシステムの使用を想定した演習が初めて行われ、三十万人以上の兵力が参加する大演習である。従来、西暦の奇数年には小規模であった上陸演習も拡大させた。
 ヘイリー米国連大使は「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と述べ、朝鮮への武力攻撃も視野に入れていると公言した。米国は国連安全保障理事会を動かし、緊急会合を開いて朝鮮を「強く非難」、制裁強化などを話し合った。米国単独でも「テロ支援国家」の再指定の手続きを開始、三月中旬にはティラーソン国務長官を日中韓三カ国に派遣し、圧迫を強めようとしている。
 緊張は新たな局面に入った。中国の「環球時報」は、「朝鮮戦争終結以来で、多分もっとも危険で、もっとも制御不能に近づいている段階」と評価している。
 米帝国主義と闘ってこそ、アジアとわが国の平和を実現できる。安倍政権のように米国に追随して前面に出る態度は、進んで衝突を挑発する役割を果たすことになる。

敵視で突出する安倍政権
 危機のなか、安倍政権は朝鮮敵視の先兵を買って出、米軍依存の軍事的対応をいちだんと強めようとしている。
 国家安全保障会議(NSC)を昼夜三回も開いてミサイル発射の「重大さ」を演出、またも朝鮮の「脅威」をあおっている。マレーシアでの「金正男氏殺害」事件も最大限に活用し、敵視と排外主義宣伝に血道を上げている。外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)でいちだんの役割分担を進めようしている。
 朝鮮は「在日米軍が目標」と明言し、その能力も示した。米軍と戦争状態にある朝鮮にしてみれば、「敵基地攻撃」は当然であろう。
 米軍基地が標的とはいえ、わが国土に対する攻撃となり、日本国民の生命・財産の安全と無関係ではあり得ない。ミサイルが日本海に撃ち込まれただけでも、沿岸漁民には大きな恐怖なのである。
 政府はミサイル迎撃による「抑止」を唱え、安倍首相は「打ち漏らしたときには米国が報復してくれる」などと言う。だが、今回のように何発も同時に発射されれば、すべての迎撃は不可能である。「打ち漏らし」は必至で、国土、国民の頭上に、核兵器を搭載しているかもしれないミサイルが落ちるのである。
 政府、自民党内には「敵基地攻撃」という話も出ている。しかし、多数で移動するミサイル発射台をどう破壊するのか。「成功」しても、大規模な報復は避けられない。
 政府は「避難訓練」を始めると言い、その事態を想定している。だが、たとえば神奈川県の横須賀基地周辺のような人口密集地で、どこへ、どう避難するのか。安倍政権は、こうした国民の危機を語ろうとしない。無責任きわまりないことだが、野党もこれを批判せず、闘おうとしないのはどうしたことか。
 厳しい国際政治の現実が迫っている。わが国の平和、国民の生命、財産、安全、すなわち国家主権に責任を持つべき政党、政治家は答えなければならない。
 朝鮮半島の戦争の問題は、もはや「対岸の火事」ではすまない。米軍基地問題も「沖縄のこと」ではいよいよすまされない。「本土」にも、横須賀、岩国、三沢などの米軍基地周辺地域を中心に、現実の危機として、対応が迫られている。
 米軍に付き合い、あるいは率先して朝鮮と事を構えるのは、民族の滅亡の道である。

緊張緩和、日朝国交正常化で打開を
 
安倍政権による朝鮮半島の緊張を高める亡国の道か、それとも緊張を緩和させる道か、この選択が眼前の課題となった。
 わが国は自主的に敵視政策をやめて緊張緩和に動き、即時・無条件の国交正常化の道を進むべきである。これだけが、平和で自主的、わが国の安全につながる唯一、確実な道なのである。
 わが国の政党、政治家は、この道を勇気をもって提唱すべきである。共産党のように、米日の朝鮮圧殺策動を批判せず、実質的に支えているようではどうにもならない。
 地域でも、地方自治体も 、とくに米軍基地がある当該及び周辺自治体、首長、地方議員、地域住民は声をあげるべきである。国の平和、進路に責任あるはずの国会議員はなおさらである。朝鮮半島と東アジアの平和のため、国民の生命、財産の安全のため、朝鮮敵視政策に反対し、対話を求めなくてはならない。
 報道によれば、自民党の山崎拓元防衛庁長官なども「対話しかない」と主張している。内心ではそう思う議員も多いのではないだろうか。
 なかでも、わが国の平和運動をけん引してきた労働運動が、もっとも重要な役割を果たさなければならない。知識人、青年学生も役割を果たすべきである。
 わが党は、緊張緩和に向けた各界による早急の努力を呼びかけ、その先頭で闘う。


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