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2017年2月15日号 2面・社説

トランプ新政権下の日米首脳会談

さらなる亡国の道に踏み込む
安倍政権を打ち破ろう

 安倍首相は訪米し、トランプ米政権成立後、初の日米首脳会談が二月十、十一日、行われた。
 トランプ大統領の対日要求に恐れおののいた対米従属の支配層主流にとって、沖縄県尖閣諸島への「安保の適用」を明記し、経済問題では具体的な要求がなかった首脳会談の結果は「一安心」かもしれない。
 トランプ政権は衰退を他国と米国人民の犠牲で乗り切り、「偉大な米国」の復活を企んでいる。「トランプ津波」はこれから本格化する。
 安倍首相は会談後も「国益を守る」などと粋がるが、わが国の平和と繁栄はますます危うく、米国による収奪強化が待ち受けている。
 国民大多数はもちろん、アジアの国々にとっても、迷惑千万である。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)は、弾道ミサイルの発射で直ちに回答を示した。
 安倍政権に日本の運命を任せておけば、わが国のは米国とともに「地獄への道」に転落することが明白になった。わが国の平和と独立は、いちだんと差し迫った課題である。

トランプ政権下での首脳会談
 今回の日米首脳会談は、世界資本主義の末期症状を背景に、トランプ米政権が誕生した下で行われた。
 リーマン・ショック以降の危機はさらに深まり、米帝国主義は衰退を早め、中国が台頭する激動のさなかである。市場や資源をめぐる競争は激化し、国家間の矛盾も激しさを増し、労働者階級・人民の生活はいちだんと困窮している。
 トランプ大統領は「米国第一」を掲げ、国内産業、とりわけ製造業の衰退と生活不安の打開を求める労働者をひきつけた。中間選挙を来年に控え、他国の犠牲で支持基盤を維持しようとしている。米支配層は、基軸通貨ドルと軍事力で歴史の歯車を逆転させ、世界支配を維持しようともくろんでいる。この破綻は必至だが、他国と人民を「地獄の道連れ」にするものである。
 すでにトランプ政権に対する国民的、国際的批判は高まり、米国内の対立と国際的孤立は深まっている。
 オバマ前政権も円安をけん制するなどしたが、トランプ大統領の対日要求はその比ではない。環太平洋経済連携協定(TPP)から「永久離脱」し、TPPを成長戦略の柱としてきたわが国支配層に打撃を与えた。日本の通商政策を「不公正」と決めつけ、トヨタ自動車を批判、日銀の緩和政策もやり玉にあげた。
 他方、安倍政権はトランプ政権誕生に慌て、中国に対抗して、日米同盟の再確立を願った。会談への「手土産」として、年金積立金運用独立行政法人(GPIF)の対米投資を検討させ、沖縄県名護市辺野古への新基地建設の工事を強行した。
 「トランプ津波」は日本を揺さぶり始めている。今回の首脳会談は、わが国支配層が戦々恐々(きょうきょう)とするなかで開かれた。

さらなる安保負担を約束
 会談は、二月初旬のマティス米国防長官の来日時に続き、日米同盟を「地域の平和と安定の礎」とした。
 共同声明は「力の行使や威嚇による、いかなる現状変更の試みにも反対」と、中国を強くけん制した。朝鮮にも「さらなる挑発を行わないよう」求めた。尖閣諸島が日米安保の適用対象であることも確認され、「核」を含む「あらゆる種類の米国の軍事力」を用いると明記された。
 今後の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で「同盟をさらに強化するための方策を特定する」ことも約束した。集団的自衛権行使のための安全保障法制からさらに踏み込み、世界的に、米軍とくつわを並べて軍事力を行使することを約束した。
 名護市辺野古への基地建設も「唯一の解決策」として再確認され、沖縄県民の意思は踏みにじられ続ける。さらに「同盟におけるより大きな役割と責任を果たす」という名目で、軍事費の大幅増額を約束した。
 米帝国主義は、大軍拡を含む手段で中国を抑え込もうとしている。安倍政権はその先兵として「対中国」の矢面に立つ。わが国は戦争の危機をあおり、「自主外交」の余地をなくし、孤立する道に踏み込んだ。

内政干渉のための「新枠組み」
 経済問題では、米国からの目立った要求はなかった。米側経済閣僚の陣容が整っていないこと、さらに安倍政権が、GPIFの投資などの「手土産」を持参したからである。
 それでも、共同声明は、アジア太平洋における「自由で公正な市場」を「日米両国のリーダーシップのもとでつくり上げていく」とした。トランプ大統領は「二国間協議で公平な貿易を求める」と語った。「公平」とは、日本に米国製品をもっと買えということである。
 トランプ大統領は「長い間、通貨切り下げに関し不満を訴えてきた」と「円安けん制」も忘れず、安倍首相は「緊密な議論」を約束した。
 重大なのは、日米間に「新たな経済的枠組み」(新枠組み)をつくることで合意したことである。マクロ経済政策の連携、インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙などの協力、二国間の貿易に関する枠組みーーの三項目について協議される。
 遅かれ早かれ、米国からの対日圧力は激化せざるを得ない。
 すでにトヨタ自動車は圧力を受け、一兆円以上の対米投資を約束した。自動車や農畜産物などでのさらなる圧力は必至である。TPPに代わる日米自由貿易協定(FTA)なども、早晩、日程にのぼるだろう。安倍首相はその可能性を否定していない。国民の年金資金はさらに食い物にされかねない。
 かつて、一九八五年の「プラザ合意」と日米構造協議などで、わが国は米国に農産物の市場開放や規制緩和、内需拡大などを求められた。結果、わが国農業は著しく衰退、商店街は「シャッター通り」化し、財政は「借金地獄」化した。とりわけ円高誘導、低金利、米国債購入などで、世界最大の債権国である日本が最大の借金国の米国を支え、勤労国民が生み出した富を奪われた。わが国の、他の先進国と異なる諸困難の大きな根源はここにある。
 「新枠組み」はこうした流れを想起させる。当時は冷戦下でソ連を滅ぼす戦略と結びついていたが、こんにちでは「中国の脅威」となった。
 わが国の経済政策はますます自主性を奪われ、国富を収奪され、米国経済の再建に協力させられる。財政もはますます深刻化する。
 経済政策面でも、安倍政権はいちだんの従属に踏み込んだのである。

独立と平和をめざす闘いを
 衰退する米帝国主義は孤立を深め、影響力を低下させている。フィリピンなどの新興諸国、欧州の帝国主義も、自主性を強めている。
 安倍政権はこのすう勢に逆らい、世界で唯一、トランプ政権に忠誠を誓った。ドイツの大手紙「ディ・ヴェルト」は、「(安倍首相は)トランプ大統領を批判しない数少ないリーダー」と評した。
 英国が欧州連合(EU)「離脱」を決めるなか、「米国の特別な同盟国」という地位を得、アジアで大国として登場することを狙っているのであろう。これは、世界に権益を持つ多国籍大企業の要求でもある。
 安倍首相は首脳会談の前に「いちばんの目的は日米が蜜月であることを中国に見せつけること」と述べた。だが、経済も財政も中国に頼る米国は「対抗一辺倒」ではない。日米会談前日、トランプ大統領は習近平国家主席と電話会談を行った。トランプ大統領は会見でも、「米中が協力すれば日本や地域の国々が恩恵を受けられる」と述べた。党大会を控え、当面の安定を欲する中国は、この発言を好意的に報じている。
 だが米国は、世界支配を維持するために以前から、二つの勢力を地域で対立させて「漁夫の利」を得る「均衡政策」を採ってきた。こんにち、強大化する中国を抑え込むため、日本などアジアの同盟国を争わせようとしている。アジア太平洋は著しく危険になる。
 天下大乱の世界である。対米従属を脱却し、独立・自主の国として戦略を持たない限り、日本は国際社会で生きていけない。
 首脳会談を受け、一部の識者からは「朝貢外交」「日本が金融植民地になる」などの危ぐの声が上がっている。対米関係をめぐる、支配層内部の分岐は不可避である。
 広範な戦線をつくり、安倍政権による「自主」を装った欺まんを打ち破って、国の独立、アジアの平和をめざす政権を樹立する闘いを強化しなければならない。


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