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2017年1月1日号 2面〜5面

新春インタビュー

労働党中央委員会総政治部責任者
秋山 秀男同志に聞く

  危機を深める新年に際し、労働新聞編集部は、日本労働党中央委員会の秋山秀男同志にインタビューを行った。秋山同志は、昨年の党の闘い、米国でのトランプ政権の誕生に見られる激動の国際情勢、アベノミクスの破綻と解散・総選挙の可能性を含みながらの安倍政権の先行きを中心とする国内情勢、さらに2017年の党の闘い、とくに革命政党としての党の建設について、縦横に語った。紙面の関係で一部を割愛したが、編集部の責任で掲載する。(聞き手・大嶋和広編集長)


大嶋 明けましておめでとうございます。

秋山 おめでとうございます。新しい年に際して、全国の同志、友人、「労働新聞」読者の皆さんに、ごあいさつ申し上げます。

大嶋 昨年と同様、党中央委員会を代表して、秋山同志に内外情勢や党の闘い、今年の抱負についてお話を伺います。よろしくお願いします。

秋山 わが党は昨年末、第十四回中央委員会総会(十四中総)を開きました。昨一年を通して、一昨年の十二中総、昨年頭の十三中総の方針を具体化して闘ってきました。これを総括し、併せて激動する内外情勢の特徴、党建設の課題などについても議論し、決定しました。
 例年のことですが、今回も十四中総の決定に沿ってお話ししたいと思います。

昨年の党の闘いと前進

大嶋 昨二〇一六年は、英国国民投票での欧州連合(EU)からの離脱、さらに米大統領選挙でのトランプ候補の勝利など、まさに激動でした。日本では参議院選挙で安倍政権への不満が噴出、アベノミクスも破綻に瀕しています。
 情勢については後ほど伺いますが、わが党の昨一年の闘いについてお話し下さい。

秋山 その前に、十三中総で確認したことについて少し触れておきます。十三中総では、わが党の政治的総路線の正しさは、一九七四年の結党以来の歴史、客観過程によって、また弱点があるとはいえ、危機の前で劣勢ながら気迫では対峙(たいじ)し得ていること、これらの事実で証明済みであると確認しました。
 その下で、十二中総で十分でなかった内外情勢のすう勢、展望について補足し、決議を具体化するための人事と体制を決めました。これは全党に確信を与え、以降の党の闘いに主導的な役割を果たしました。こうして、わが党は闘ってきました。
 昨年の成果としては、第一に、決して多くの県党ではありませんが、党建設で貴重な前進あるいは経験があったことです。特にある県では党組織建設で成果を獲得しました。こうした県党は、目的意識的な活動で成果を上げており、全党が学ぶべき一定の教訓も得られたと思います。
 第二に、情勢評価や政治方向で党の主張を公然と打ち出し、思想政治面で党の隊伍を整えたことです。昨新春の大隈議長講演は、新たな危機の局面に移行した今日の世界のすう勢・展望、「特殊な多極化」の世界、そのなかで「ささ舟」同然となっている日本、米帝国主義と闘うことの重要さ、アベノミクスの本質の暴露、安倍政権との「独立をめぐる二つの路線」の闘争、連合が安倍政権を支える社会的な支柱の役割を果たしていることの暴露、などわが党の情勢評価と闘いの基本方針を改めて整理して提起しています。
 全党は、この内容をまとめたブックレットを普及する活動に取り組みました。議会政党が参院選挙への対応に手いっぱいのなか、「迫り来る破局」に戦略的に備える、革命政党にふさわしい政治思想面での政治闘争、党派闘争となったと思います。
 いくつかの県党にとっては、「県政奪取の政冶戦略」を具体化し、それと結び付けて戦略的な党と統一戦線の建設を進める上での重要な材料、手がかりをつかんだようです。
 このほか、七月の参議院選挙闘争に際してのわが党の態度と評価、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の二度の核実験問題に対する原則的な見解と態度を打ち出すなどで、政党らしい役割を果たせたと思います。
 このような活動を基礎に、全国の同志たちは大衆の要求を取り上げて闘ったり、あるいは安倍政権を批判して周囲の人びとを啓発したりして闘いました。指導が行き届かなかった同志から県党に連絡があり、情勢評価を聞きたがったり、という例も報告されています。
 このほか、わが党が支持する統一戦線組織である、自主・平和・民主のための広範な国民連合も、シンポジウム「参院選の真の争点は何か」や全国地方議員交流会の開催など、情勢に応えた取り組みを行い、多くの人たちの期待を集めています。福岡県では、環太平洋経済連携協定(TPP)問題を取り上げた労農連帯集会を組織し、また地域懇談会など組織面でも一定の前進があったように聞いています。情勢を生かし、大きな闘い、統一戦線を発展させる政治的条件が発展していることを確信できるのではないでしょうか。

大嶋 「目的意識的な党活動」とご紹介がありました。可能な範囲で、もう少し詳しくお話いただけますでしょうか。

秋山 その県党の活動については昨年のインタビューでも途中まで触れたので、繰り返しになるかもしれませんが……。
 この県党は、数年前から、第六回党大会決議の建党路線の具体化を指導の行き届かない同志に会いに行くという活動から始め、営々と党建設を追求してきました。この中で党の活性化と、指導部に党建設への確信が生まれました。初歩的にしろ、認識面での実に大きな変化でした。
 また、同県党は、党の力を蓄えることを意識して、新春講演会・旗開きや国民連合の沖縄連帯集会やTPP問題など、情勢を生かして積極的に闘い、党の評判を高め、情勢への確信と党建設の客観的な条件が存在していることに気付いたとのことです。その過程で、県指導部は「指導の行き届かない同志たち」が県党に対して、労働党が積極的に闘い、もっと大きな役割を果たすよう期待していることを痛切に感じたそうです。責任者の同志は、同志たちが大衆の中で、社会生活の中でさまざまな活動を担い、政治思想面でもかなりしっかりした考えを堅持していることに感動し、従来は小さく見えた県党を「大きな力を持っている」と、党の現状について認識を改めたとのことです。
 県指導部はこうした経験を経て、次第に党建設に自信を持つようになってきました。その後、いくらかの新規党員拡大オルグの経験から、県指導部が現場党員が日常的にどのような暮らしをしているか、またどのような人たちと付き合い、どのような活動をしているか、党と大衆との結びつきの度合いや現状について十分につかんでいなかったこと、党員が党を説明できるように県指導部が同志たちを党的思想で教育していないことなどが総括されました。その後、県委員長は細胞の周辺の労働者たちと会い、かれらの生い立ちや問題意識などをよく聞くことから始め、時事問題を使った政治教育、階級教育に挑戦し、さらに労働党の建設の歴史をテーマとする学習会を行ってきました。そうした努力を積み重ね、今回の党員拡大の成功が実現できたのです。
 大衆運動を前進させながらも、一貫しているのは党建設の意識性です。ブロック内での「党内闘争」がこの一貫性の堅持に大いに役立っています。
 この県党指導部の活動に学ぶべき点はいろいろとあります。労働者の中に深く入り、彼らを信頼し、彼らに力があることを学んでいること、そのうえで党建設を一貫して追求し、一歩一歩登ろうとしている実践は素晴らしいと思います。
 別の県党の経験もあります。
 この県党は、従来から、定例の学習会の開催や「県党ニュース」の発行など、比較的系統的な活動が続けられてきた党組織です。
 責任者の同志はこの県党の歴史的経験に真剣に学び、新入党員を獲得できていない党建設上での問題点を総括し、一定の結論をもって臨もうとしています。ブックレットの普及の際も、県政奪取の戦略を意識して取り組んでいます。県委員会総会を開き、数年後の県知事選挙をメドに、「党勢倍化」の意欲的な目標を定め、その下で、多様な活動に手を打っています。
 学ぶべきことは、六大会決議をよく研究し、それを県の状況に合致させて具体化し、党建設を進めようとする目的意識的な活動です。六大会決議及び県党の方針に絶えず戻って総括し、指導部の意思一致を図っています。

激動の国際情勢

・世界経済金融危機について
大嶋 では、内外情勢に移ります。まずは、国際情勢についてです。
 先ほどの、昨年の大隈議長による新春講演では、国際情勢の展望として四点を指摘しています。簡潔に紹介すると、(1)新たな展開を見せた経済危機は、さらに長期化する、(2)それを反映し、一部の国あるいは地域では上部領域が情勢発展の主要な側面へと転化あるいはしつつある、(3)上部領域でのこの傾向の拡大は不可避で、長期のものとならざるを得ない、(4)「特殊な多極化」の世界のすう勢は、帝国主義が自分をどう立て直すか、あるいは労働者階級が世界政治にどう登場するか、この競争にかかっている。とりわけ、先進国での革命党と労働者階級の前進がどのような速さで発展するかにかかっている、というものです。
 この見通しは非常に正しいものだったと思います。

秋山 そうですね。
 六月、英国国民投票でEUからの「離脱」となったのに続き、十一月の米大統領選挙ではトランプ候補が勝利しました。双方とも、おおかたの予想を覆したものでした。特にトランプ候補の勝利は、米国の危機、激化する階級矛盾の反映です。
 世界資本主義の危機は、世界の総生産(GDP)の四分の一を占める大国、資本主義の「総本山」である米国で政治危機が激化し、「非主流」のトランプ政権を生み出すところまできました。「米国第一」など、彼が選挙中に叫んできた過激な言動そのままの政治を行うわけではないとしても、国際政治がさらに流動化することは必至です。米国が主導してきた戦後の国際秩序の崩壊は加速するでしょう。
 もちろん、米帝国主義は大人しく歴史の舞台から退場しません。トランプ政権の誕生自身が、米帝国主義の新手の巻き返し策です。

大嶋 では、危機の前提としての、世界経済の動向について伺います。

秋山 これは昨年から言っていることですが、〇八年のリーマン・ショック後の危機はますます深刻で、一五年夏に中国経済の鈍化が顕在化して以降、より危機的な局面に入ったといえます。
 まず、世界経済は、全体的な成長率の鈍化・低下から抜け出せていません。経済成長率だけでなく、世界の貿易も停滞・減少していますし、投資も停滞傾向です。リーマン・ショック後、世界経済は中国の膨大な需要に助けられてきました。その中国の成長が鈍化し、それどころか、当面は、鉄鋼など過剰設備の廃棄に追われることになります。五〜十年は、世界の需要を吸い込むことは見込めない。これは世界経済の成長率低迷の巨大な要因です。
 リーマン・ショック後、各国、特に先進諸国は空前の金融緩和を行い、財政も投入し、今でも続けています。それにもかかわらず、この低成長です。マネーの垂れ流しで、各国の「通貨安競争」は激化し、世界経済はますます不安定化しています。各国の累積財政赤字も非常に悪化し、人民に犠牲が転嫁されています。全世界で貧困化と格差拡大が進み、一部の国では内戦などの要因も加わり、難民は六千万人を超えています。
 労働者・人民の貧困化が進めば商品は売れず、経済が上向くはずがありません。資本家・各国支配層は、本当の意味で人民を豊かにすることはできません。それどころか、労働者人民を食わせられなくなっているのです。
 まさに資本主義は「末期症状」で、生産手段の私的所有に基づく資本主義そのものを廃絶して新しい生産様式、社会主義を実現しない限り解決できないのです。社会主義の客観的条件は成熟しているのです。

大嶋 世界経済の第一の特徴は、低成長と人民の貧困化とでもいえそうです。ほかにどうでしょうか。

秋山 世界は、米国が衰退し、中国が事実上、世界経済の付加価値生産で最大のシェアを占めるという、構造変化が進んでいます。
 米国は購買力平価ベースのGDPで中国に抜かれ、世界の二番手に転落しました。実質GDPの増減額でも、〇七年以降は中国が基本的に上回っています。そのほか、エネルギー消費量、自動車販売台数などでも、中国が最大となっています。
 今後しばらく、米国と中国は世界経済への影響度でもせめぎ合うでしょう。政治・軍事は、この構造変化に中長期に規定されます。諸国はすでに、これを念頭に自国のカジ取りを進めています。
 もう一つは、世界的な需要不足を背景に、各国、多国籍大企業の争奪がますます激化していることです。まさに世界経済は、「血を流さない」戦争のただ中にあるのです。
 多国籍大企業間の競争は、国家権力も加わって激化しています。企業の「不正」を口実にした罰金や訴訟和解金は急増。中国が過剰となった鉄鋼製品の輸出を強化していることに対して、米欧は「反ダンピング」の制裁を強化しています。
 世界的なM&A(合併・買収)も増えています。とくに、アジアが争奪の場となっています。資源争奪も激しさを増しています。

大嶋 大隈議長が講演で指摘した、上部領域の経済への影響はどうでしょうか。

秋山 危機の深まりが政治やイデオロギーなどの上部領域に影響を与え、一部の国・地域では、上部領域自身の危機が主要課題となっています。上部領域の危機は経済に反作用し、危機を深刻化させている。
 これを典型的に示したのが、英国の国民投票結果です。EUからの「離脱」決定で、ポンド安や企業転出などが引き起こされ、シティを中心とする「金融センター」機能も揺らいでいます。そのほかの欧州諸国も、難民問題や「テロ」対策などに追われています。
 米大統領選挙におけるトランプ政権の誕生も、世界経済に巨大な影響を与え、揺さぶることは確実です。
 このほか、年末のイタリア国民投票でのレンツィ政権の崩壊、韓国では朴政権が退陣を表明しました。結果、イタリアでは金融不安が再燃、韓国経済も怪しい。シリアなど中東では内戦が激しさを増していますし、隣国のトルコではクーデター未遂事件が起きました。世界で軍備拡大と武器輸出が増えています。
 世界はまさに激動で、「戦争を含む乱世」の様相です。各国はますます「経済対策どころではない」状況に陥っています。
 情勢発展の要因は、依然として「経済」が主要な側面ですが、各国での政治危機、諸国間の矛盾は深まらざるを得ません。各国の政権はますます不安定化し「天下大動乱」の様相です。

・トランプ政権登場の背景と先行き
大嶋 読者の皆さんがもっとも注目しているのは、米国でのトランプ政権の誕生だと思います。世界が衝撃を受けたというトランプ氏勝利の背景について、お聞かせ下さい。

秋山 トランプ氏の勝利は、世界資本主義が深刻な危機の深みから抜け出せず、歴史的な行き詰まりを露呈する中で、米国の抱える危機の深さ、国内における階級矛盾の深まりを示していると思います。
 米国は長期に産業競争力を衰退させていますが、基軸通貨・ドルの特権や比較優位にある金融やIT(情報技術)産業、軍事力、政治力を活用して覇権を確保してきました。ですが、金融バブルで生き延びる手法は、リーマン・ショックで限界に達しました。それ以降も米国発の金融経済危機は続いており、昨年夏の中国経済の変調をきっかけにより深刻な局面へ移行しました。
 経済は依然として厳しく、連邦準備理事会(FRB)は利上げしたものの、金融緩和の「出口」に遠い状況です。オバマ政権による「製造業復活」や「輸出倍増計画」も成功していません。
 この下で、労働者・人民の貧困と格差が拡大しています。失業率は、非自発的パート労働者を含めれば一〇%近くで、依然として四割近い労働者が職がないか、就労を諦めさせられています。実質賃金も上がっていません。こうした状況への不満の拡大は人種暴動や、ときに乱射事件などの犯罪として噴出しています。
 これらが、トランプ候補を押し上げた背景です。トランプ候補は「米国第一」と唱え、既存の(民主党・共和党の)政治に不満と怒りを強める労働者・国民諸階層をひきつけて「勝利」を得たのです。


大嶋 トランプ氏はまだ就任前で具体的な政策は「これから」ですが、新政権の打ち出す政策が世界にどのような影響を与えるか、予想されるところをお話し下さい。

秋山 トランプ氏は、「米国第一」を掲げて米国民の旧来の政治・政治家への不信感を吸収しました。ですが、どのような政策を行うにしろ、新政権は、国家財政と経常収支の「双子の赤字」、経済成長率の歴史的で傾向的な低下、国際政治での政治的主導性の低下、などいちだんと衰退した米国を引き継ぐことになります。それに労働者国民諸階層の不満と怒りです。トランプ新政権はこれに制約されざるを得ないのです。
 たとえば、トランプ氏は大規模な公共投資や減税を公約しています。ですが、政府の累積債務はすでにGDP比で一〇〇%を超えています。何をしようにも、財源が乏しい。
 減税は金持ち優先で、彼を支持した貧困層に利益はありません。排外主義をあおって移民を規制しても、低所得者の所得が増えるわけではありません。
 このように、彼の掲げる政策は初めから「限界付き」です。
 世界への影響ですが、米国経済は復活せず、リーマン・ショック前のような「需要の受け皿」にはなり得ません。
 「米国第一」の外交を行えば対外関係はいちだんと厳しく、米国の国際的孤立を深めるでしょう。
 トランプ氏は、すでに蔡・台湾「総統」と電話会談を行い、「『一つの中国』にこだわらない」などと発言して中国の反発を招いています。通商摩擦、南シナ海問題などでの利害対立も厳しくなるでしょう。米中関係は、中長期にさらに険しくなるのではないでしょうか。
 ある程度、日本にも同様です。防衛予算や国連平和維持活動(PKO)の拡大、為替や内需拡大などの要求がさらに強まるでしょう。
 トランプ新政権は、従来以上に、他国と国内労働者国民諸階層に犠牲を押し付ける政策を打ち出し、矛盾と対立、そして闘争を深めることになります。
 米国が抱える内外の危機はさらに深刻化し、それを打開するための策動も強まり、国際政治を流動化させると思います。


・諸国の対立激化
大嶋 本来、中国や欧州諸国、ロシアなど、世界の主要国の動向についてもお話しいただきたいところですが、紙面の都合もあります。
 米帝国主義を暴露・批判するという意味からも、米国との関係で、諸国の動きについてざっと触れていただけますか。

秋山 米国は、南シナ海での「航行の自由作戦」で挑発したり、日本やオーストラリアなどを巻き込んで中国包囲を強めています。「核」を口実とした朝鮮への軍事的包囲・圧迫、在韓米軍への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備も、本質的には中国をけん制することを狙っています。米国は核兵器の近代化を公言しています。
 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が五十七カ国の加盟で発足し、さらに三十カ国が申請中ということです。中国はロシアなどとの結束強化も進めていますし、経済・軍事・政治というすべての面で、国際的影響力は増大しています。
 ロシアは、クリミア問題などで妥協せず、シリア内戦への対応でも主導的に振る舞っています。マスコミなどでは、クリミアやウクライナ問題で、ロシアだけを一方的に批判する論調がほとんどです。ですが、冷戦崩壊後、米国が系統的に東欧諸国や旧ソ連などのロシア周辺国に干渉を繰り返してきたことが根本原因です。こんにちも、米国はロシアと欧州諸国、特にドイツとの連携にくさびを打ち込むべく、さまざまに策動しています。サイバー問題なども、そのための口実です。
 欧州は、米国との同盟を維持してはいますが、英国のEU離脱は、米国にとって「手駒の消失」です。米国はドイツを中心に対欧州戦略を組み立てざるを得なくなるでしょうが、ドイツは英国のような「特殊な同盟国」にはなれません。米国の欧州での影響力は低下するでしょう。
 朝鮮は、核を離さず、米国の包囲網を打ち破ろうとしています。
 その他のアジア諸国も、フィリピンのドゥテルテ政権が典型ですが、「米国離れ」の傾向を強めています。サウジアラビアのような親米国でさえ、そうです。来年から国連で討議が始まる「核兵器禁止条約」も、戦後続いてきた、核を使った大国の支配を打ち破ろうとする、中小国の対応の一つだと思いますね。
 こうした動きは、米国の世界戦略を後退させているという点で、われわれにとっても有利な環境ですね。ところが、日本共産党の第二十七回大会決議案は、中国・ロシアへの態度は米国とまったく同じです。後でもう少し話したいのですが、帝国主義を免罪するものですね。
 米国の衰退が急速に進むなか、諸国は戦略的な対応を強めているといえるでしょう。第二次世界大戦後の、米帝国主義の世界支配は崩壊しつつあり、「特殊な多極化」は確かなものとなっています。米国は自ら進んで支配的地位から降りることはありませんので、米帝国主義との闘いを強化しなければなりません。


大嶋 では、国際情勢のまとめをお願いします。

秋山 危機の深まりで、諸国内の階級矛盾は激化し、政権は不安定さを深めています。各国での人民への犠牲の押し付け、政治反動などが進むでしょう。全世界、とくに先進国労働者階級が、自らの革命政党を建設し、政治に登場することが急がれていると思います。
 さらに全世界の労働者は、中小国・人民と連帯し、ときに米国の支配をよしとしない帝国主義の一部とさえ連携して、米帝国主義との闘いを強めなければなりません。
 われわれからすれば、世界は大激動であり、米国を頂点とする帝国主義に反対する闘争、諸国同士の対立激化と闘争、そして資本主義先進国内部での階級矛盾と闘争が激化する胸躍る情勢の到来です。
 こうした下、安倍政権を取り巻く環境はますます危機的です。

国内情勢、安倍政権との闘い

・アベノミクスの暴露進む
大嶋 国内情勢に移りましょう。
 第二次安倍政権が成立して以来、四年が経過しました。歴代政権に比して支持率が比較的高い安倍政権ですが、秋山同志が先ほど述べたように、日本を取り巻く国際環境は危機的です。わが国は世界の荒波に激しく揺さぶられる「ささ舟」となり、国の進路が厳しく問われています。闘う側にとっては好機です。
 それにしても、安倍政権と闘う上で、少し経過を振り返ることは有効ではないかと思います。この四年を振り返って、いかがでしょうか。

秋山 トランプ新政権が登場して日米矛盾が高まるなか、歴代自民党政権、亜流政権、安倍政権の対米従属政治を打ち破り、国民的政権を樹立することが、わが国の進路にとっていま最も重要で優先すべき課題です。危機と背中合わせでありますが、ある意味でチャンスである。
 さて、安倍政権についてですが、安倍政権の前は、三年三カ月しか保たなかった旧民主党政権でした。旧民主党政権は、歴代の対米従属政治、とくにリーマン・ショック後の国民生活の悪化への不満の受け皿として誕生しましたが、沖縄県名護市辺野への基地「回帰」、東日本大震災と原子力発電所事故などを経て、自民党と大差ない内外政治を行って国民の期待を裏切り、幻滅をもたらしたのです。
 この状況で、安倍・自民党は「強い日本を取り戻す」と掲げました。中国や朝鮮に対する排外主義をあおって利用したこともありますが、何より、長期のデフレ不況を「三本の矢」、アベノミクスで打開するとしたことが、政権復帰に成功した最大の要因でしょう。
 以降、大胆な金融政策、機動的財政政策、成長戦略という「三本の矢」に着手し、今も続けています。日銀による金融緩和策は次第に拡大し、マイナス金利まで導入しました。財政出動も続き、昨年末には第三次補正予算も決めています。
 他方、「脱デフレ」「経済再生」には程遠く、国民経済・国民生活の悪化は耐え難く、ますます深刻化しています。労働者の実質賃金の低下、年金制度や医療制度の改悪など、国民負担も相当に重くしました。

大嶋 わが党は、アベノミクスをインフレ政策、労働者・中小企業自営業者・農業者から一握りの輸出大企業や資産家、投資家への「富の移転」で、搾取・収奪を強化する政策だと暴露してきました。多くの野党は「アベノミクスの恩恵が及んでいない」とか「成功していない」と言いますが、政策の本質からすれば、「及ばない」どころか、収奪政策として見事に「成功」しています。

秋山 その通りです。おっしゃるように、資産価格の上昇や海外収益のかさ上げなどで多国籍大企業はボロ儲(もう)けする一方で、国民の生活と営業はますます厳しく、内需型産業の衰退、地域経済の疲弊も著しくなっています。
 しかも一五年夏以降、世界経済はより深刻な局面に移行し、日本経済はいちだんと危機を深めています。
 安倍政権は、一五年九月の自民党総裁選後には、「GDP六百兆円」などの「新三本の矢」を掲げたり、「地方創生」「一億総活躍社会」などと目先を変えてきました。日銀には「新たな枠組み」を導入させた。これは、「デフレ脱却」という側面からすると、アベノミクスが破綻に瀕していることを物語っています。

大嶋 昨年の参議院選挙後には「アベノミクス再起動」とまで言いましたから、いったん終了したのでしょうかね(笑)。

秋山 いずれにしても、この四年間は、アベノミクスへの幻想が徐々にはがれ、収奪政策としての自己暴露が進む一方で、安倍政権としては「手立てをなくしていく」過程といえます。参議院選挙の「東北・甲信越の乱」や各種知事選挙などの結果を見ても、労働者や農民など国民大多数の経営と生活苦は深刻化していますし、政治への不満は強まっているといえます。
 安倍政権は、「増税延期」などの欺まん的政策にますます頼らざるを得なくなっています。
 問題は、共産党を含む議会主義の野党、とくに民進党に政策的対抗軸がないことです。それどころか、かれらは、あなたが言ったように、いまだにアベノミクスの暴露さえできないありさまです。


・米国支える外交も行き詰まり
大嶋 外交・安全保障政策でも、武器輸出三原則の撤廃、国家安全保障会議の設置、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認と安保法制の強行成立、南スーダンへの派遣部隊への「駆けつけ警護」任務付与、沖縄県名護市辺野古への新基地建設強行など、米国の世界戦略を支える役割を積極的に進めています。
 「対中国」で矢面に立たされてアジアで孤立を深めたというだけでなく、TPPではトランプ米新政権にはしごを外されそうですし、為替・通商問題や防衛負担などで米国からの要求も強まり、ロシアとの北方領土問題も前進させられず、相当に「八方ふさがり」の感が強まっているように思えます。

秋山 安倍政権が米国の「アジア・リバランス戦略」を支え、奉仕しているのは、ご指摘の通りです。安保法制、あるいは昨年末の垂直離着陸輸送機オスプレイの事故後の対応を見てもそれは明らかで、暴露も相当進んだと思いますね。
 ただし、安倍政権は、単なる対米従属政権ではなく、世界で荒稼ぎする多国籍企業にまで成長したわが国独占資本にも奉仕しています。安倍政権の内外政治は、多国籍企業が、資源・エネルギーや市場をめぐって、国際的に激しい争奪の争いに打ち勝ち、「覇権的利潤」を獲得することに奉仕しているのです。
 世界が激動し、諸国内の階級矛盾が激化し、また国家が激しく対立、しかも米帝国主義が衰退する現実に直面して、安倍政権は、歴代自民党政権以上に、わが国の「独立」を意識しています。それが「強い日本」というスローガンが意味するものです。現に、TPPでは「独立国として米国と違う意見になってもいい」(二階・自民党幹事長)などと言っています。
 では、安倍政権がわが国の独立を達成できるのかというと、不可能です。金融資本・多国籍大企業を中心とするわが国支配層もまた民族的課題の解決を必要としていますが、かれらには階級的限界があります。
 こうしたわが国の運命が問われる情勢の下で、安倍政権はニセの「独立」の旗を掲げて民族的な課題解決のための政治的ポーズを示し、幅広い政治的な支持を獲得し、労働者階級を「孤立化」させようと企んでいます。安倍政権が、比較的高い支持率を維持している要因の一つはそこにあります。しかし、支配層・安倍政権は対米従属の枠を一歩も超えられません。わが党と労働者階級は、安倍首相のいう「独立」「自主」はニセモノであることを暴露し、その欺まん的術策を打ち破り、民族的課題での指導権を握り広範な国民を率いて闘わねばなりません。
 わが国の独立をめぐる「二つの路線」の闘いは、ますます喫緊の課題だと思います。
 日本共産党は「国民連合政府構想」を呼びかけ、当面は「野党共闘」を唱え、一部に期待が広がっているようです。しかし、共産党は本当に「独立」の旗を掲げて闘おうとするのでしょうか? ダマされてはなりません。かれらは対米従属の打破を掲げておらず、広範な労働者・国民諸階層の力に依拠して国民的な政権を樹立しようという政権構想ではないのです。これでは、安倍政権への対抗軸になり得ません。むしろ労働者・国民が立ち上がり、支配層を追い詰めたとき、術策を弄(ろう)して、支配層の危機を「左」から支える危険な役割を果たそうとしているのです。共産党の策動を暴露して、徹底的にたたかねばなりません。


・悪化する経済、国民生活
大嶋 先ほど、中国変調の影響が及んでいるという話がありました。日本経済についてはどうでしょうか。

秋山 中国経済が落ち込んだ影響で、すでに鉄鋼、海運、造船などを中心に影響が出ていますし、期中で設備投資を取りやめるか、延期する企業が相次いでいます。安倍政権下での日本経済の成長率は潜在成長率(〇・二〜〇・四%)にも及ばない程度で、「経済の好循環」などというのはデタラメです。
 このわずかな成長も、大部分は、財政投入と金融緩和によるもので、国民を収奪し、財政危機をさらに深刻化させた上でのことです。
 アベノミクスのこうした手法は、もう限界に達しています。
 日銀が国債や上場投資信託(ETF)などを買いあさった結果、買える国債は枯渇してきていますし、日銀が大株主という企業も多いのです。国の累積債務残高はGDPの二倍を超え、先進国中最悪です。安倍政権が国際的に「公約」している二〇年の基礎的財政収支(PB)黒字化は、消費税を再増税したとしても不可能です。このままいけば財政危機はさらに深刻化し、何らかの形で国民への犠牲転嫁が押し付けられることになります。


大嶋 何より、国民生活はきわめて厳しくなっています。

秋山 すでに一七春闘が始まっていますが、労働者の所定内給与(実質)は一〇年平均を下回ったままです。労働者の非正規化、すなわち雇用の不安定化と低賃金化もさらに進んでいて、非正規労働者は五年連続で増えています。年収三百万円以下の労働者が約半分にもなり、これでは子供を養えません。医者にも行けず、社会保障費などの負担に耐えられるはずもありません。青年労働者にとっては、結婚さえ「夢のまた夢」でしょう。
 一方、大企業による無慈悲なリストラが続いています。東芝は一四年度から三万四千人もの人減らしと減給を続けていますし、シャープも三千人以上を退職に追い込みました。最近では、ニコンが一千人、ジャパンディスプレイが国内で七百人もの合理化を発表しています。
 市場競争の激化を背景に、労働者への時間外・休日労働やサービス残業の強制も増加しています。広告会社・電通で女性社員が自殺に追い込まれたのは「氷山の一角」です。
 安倍政権が米価下落を放置した結果、コメ作り農家の九割が赤字です。旧民主党政権下での戸別所得補償制度が廃止となり、支給額が減った「直接支払い制度」がありましたが、それも廃止されます。コメづくり、特に作付面積五ヘクタール以下の農家は、すでに経営として成り立っていません。
 安倍政権は、大規模化と輸出で農業の展望が開けるかのように言っていますが、それは大多数の農家、家族農業の経営や生活が成り立つという意味ではありません。
 また、中小商工業者、特に零細業者は激減しています。これは長期にデフレ不況が続いていることもありますが、アベノミクスの下での輸入物価や資源原材料の高騰など所得移転も響いております。大企業による下請け収奪はもちろんです。
 多くは触れられませんが、アベノミクスの下、国民生活・国民経済が危機に瀕しています。客観的には、多くの国民が闘わざるを得ない状況です。


・安倍政権の危機切り抜け策
大嶋 そうしたなか、通常国会序盤での解散・総選挙もささやかれています。与野党の力関係では、総選挙後も安倍政権が続く可能性が高いと思います。以降、安倍政権はどのような政策を実行するでしょうか。

秋山 安倍政権は、対米従属で多国籍大企業の覇権的利益追求のための内外政治を続けるでしょう。外交・安全保障では、米国の世界戦略に奉仕しつつ、その下で「アジアの大国」として登場することを願望しているのでしょう。これは国民生活・国民経済をさらに痛めつけ、わが国の進路を危うくします。
 また、安倍政権の内外政治は、米トランプ政権の誕生などで激しく揺さぶられるでしょう。
 それらを前提にですが……。
 日銀が導入した「新たな枠組み」は、マイナス金利への不満を持っていた金融機関の経営を安定させるでしょうが、大多数の国民には「インフレ税」の強化で、災厄そのものです。密かに、といっても、御用学者は公然と言っていますが、インフレによる国家債務の削減もうまくはいかないでしょう。かといって日銀の緩和政策は止められず、財政問題をきっかけとする「日本発」の金融危機、破局の可能性もあると思います。
 安倍政権は補正予算などの財政投入、さらに「骨太の方針」による改革政治をもくろんでいます。
 ですが、総額二十八兆円もの経済対策の目玉はリニア中央新幹線程度で、国民生活、とくに「明日をも知れぬ」状況の人びとは救えません。カジノ解禁、労働法制や「白タク解禁」などの労働分野の「岩盤規制」改革、医療改革、農協改革などは、「世界でいちばん企業が活動しやすい」状態をめざすもので、国民生活・国民経済にはマイナスです。
 消費税増税、年金や生活保護、介護保険など社会保障制度の改悪も、さらに進めようとするでしょう。地方に対しても、地域内部、あるいは地域間で競わせ、公的サービスの民営化で財政コストを下げ、企業には儲けを保証する。国家戦略特区による規制改革も進み、次第に全国化されるでしょう。


大嶋 先ほど出た労働法制問題ですが、「働き方改革」については、連合中央は日本経団連らとともに政府の「働き方改革実現会議」に参加し、この協議のテーブルに着いています。「左派」の一部にも、「われわれの言ってきたことが取り入れられた」という意見があるようです。

秋山 市場争奪、国際競争が激化し、多国籍大企業は自らの死活をかけて、政府に生産性の向上のために改革を求めています。この環境下では、あまりに劣悪な非正規労働者の賃金を「スズメの涙」程度引き上げたり、「貢献度の高い」ごく一部の正社員の給与を上げることはあり得るでしょう。ですが、大部分の正社員は、成果給制度の拡充やホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制適用除外)などで賃下げです。非正規労働者の待遇が大きく前進するはずもないでしょう。
 安倍政権は、労働組合が掲げてきた「同一労働同一賃金」を取り入れるかのように見せていますが、実態は「非正規労働者の待遇を正社員並みに引き上げる」のではなく、「正社員の待遇を非正規労働者並みに引き下げる」というものでしょう。
 幻想は禁物で、闘って打ち破るしかないと思います。


大嶋 外交・安全保障政策ではどうでしょうか。

秋山 安倍政権は、引き続き米国の先兵となって中国けん制を強める道を取るでしょう。これは、米国の指導力が低下し、中国が台頭する国際情勢の激変を意識し、国際関係でわが国の発言力を強めることを狙った、一定の独自性の発揮ともいえるでしょう。
 トランプ次期政権は、為替や内需拡大をめぐる要求と併せ、安全保障上の要求を強めてくることは確実です。駐留米軍への「思いやり予算」増額、防衛予算の増額といったところでしょう。
 これと結び付いて、共謀罪を「テロ準備罪」に「衣替え」させて提出をもくろんでいますし、教育の反動化やマスコミ統制の強化、憲法改悪を政治日程に載せてくるでしょう。
 安倍政権は対米従属の下でのわが国の政治大国・軍事大国化を進めるにあたって、「トランプ政権の要求に応える」とか「自主防衛」などと言うことでしょう。「自主防衛」は独立国としては当然ですが、安倍政権が進めるのはむしろ欺まんのためで、落ち目の米帝国主義と「運命」をともにする亡国の道です。こうした安倍の内外政治は、保守層や自民党内部にも利害の対立や亀裂を拡大することになり、激しく揺れるでしょう。
 独立・自主、アジアの平和と共生、国民経済の擁護と発展に向けて政治の転換を闘い取らなければなりません。独立をめぐる「二つの路線」との闘争に勝利するためには、我々労働党が政治路線の具体化に習熟し、安倍の独立や「自主」の欺まん的術策や階級的な限界を暴露して、労働者階級が指導権を持って広範な国民を率いて闘えるように力をつけていくことが必要不可欠です。


大嶋 この項の最後に、安倍政権を打ち倒す力についてお話し下さい。

秋山 アベノミクスへの幻想はさらにはげ落ち、抵抗激化は避けがたいと思いますね。
 安倍政権に対する不安や不満、闘いは、各層に広がっています。
 沖縄では「オール沖縄」の政治的な団結、日米地位協定の抜本的な改正や米軍基地の撤去をめざす統一戦線が基本的に維持され、粘り強い闘いが継続されています。年末には最高裁が不当判決を下しましたが、オスプレイの墜落事故に対してすぐさま集会が開かれるなど、県民は意気軒昂(けんこう)に闘っています。
 労働運動も、安保法制反対でストライキを闘った労組がありますし、その後も、春闘や合理化問題などでいくつかの単組・支部がストを打ち抜いたりしています。労働法制改悪などでも闘いが進められています。
 保守層、政治家の中にも、地方を中心に、安倍政権への不満が広がっているように思います。その傍証ですが、地方の首長選挙などを見てみると、「保守分裂」になっているところが結構あります。全国知事会は、日米地位協定の見直しなどを協議することを決めました。
 知識人の中にも、対米従属に公然と異論を示す人が出始めているようです。経営者の中にもこうした声があるでしょう。
 安倍政権の対米従属政治に反対し、彼のニセ独立の欺まん的な術策を暴露して、独立・自主の国の進路を求めて闘いを前進させる好機だと思います。

労働党の闘いと建設

・2017年の闘い
大嶋 駆け足でしたが、内外情勢について見てきました。それらを前提に、今年一年、労働党はどのように闘おうと考えておられますか。

秋山 第一に、政党らしく、理論・思想・政治闘争を強めたい。米帝国主義の暴露とそれへの闘争を強めること、安倍政権による「自主的傾向」の限界性や欺まん性をも徹底して暴露し、独立をめぐる「二つの路線」の闘争を進めること、日共修正主義に対する暴露を強めること、連合中央指導部を暴露して闘うことなどです。
 共産党は、「いま問われているのは、日米安保条約や自衛隊の是非ではない」と、トランプ新政権の発足でまさに問われている日米関係、すなわち安保条約破棄の課題を真正面から労働者・国民に提起することを妨害しています。これはニセの「独立」を吹聴する、安倍政権の欺まんを許し、支配層内部の矛盾を利用して勝利する歴史的チャンスを失敗に導く犯罪行為です。「野党と市民の共闘を発展させ……」などというのも、労働運動を市民運動に解消するもので、労働者階級に歴史的役割を「忘れろ」と説くようなものですし、きわめて犯罪的な策動です。
 当てのない議会の道ではなく、たとえ数十万人でも、労働者が断固たるストライキに立ち上がれば政権を倒せる力を持っていることを、倦(う)まずたゆまず、系統的に呼びかけたい。
 連合中央の一部指導部は、「安倍政権を支える社会的支柱」です。安倍政権は連合と民進党の矛盾を突いて、労働運動に揺さぶりをかけています。思想政治面で「安倍依存」の傾向が強まっていますが、これでは労働運動は成り立たないことは歴史の経験から明らかです。わが党は連合内部を区分して、闘う勢力を激励し、労働運動の階級的革命的な形成・発展を促すために闘います。
 第二に、生活擁護、増税反対などの闘い、対米従属の軍事大国化、中国敵視に反対し、沖縄県民と連帯し、米軍基地撤去と日米地位協定の抜本改定、日米安保条約破棄のために闘いたい。そのほか、政治反動、憲法改悪への反対、原発再稼働反対や日米原子力協定の延長反対、独立し持続可能なエネルギー政策の推進、平和のための東アジア民間交流を促進することなどがあろうかと思います。
 特に沖縄県民の闘いは、わが国の独立をめざす戦線の一翼を占めうる重要な闘いです。これまでもそうでしたが、県民の闘いとより結びつき、全国で闘いたい。
 第三に、労働者階級の具体的要求を支持して闘いたい。
 工場閉鎖、リストラ問題、賃金切り下げ、長時間労働・労働強化などに対して、機敏に対処すること。何よりも現場に駆けつけ、労働者の闘いを支持、応援することが大切です。労働法制改悪に反対する闘いも重要です。
 第四に、農民、商工自営業者など中間層の要求を支持して闘います。とりわけ、農民の闘いと要求を支持し、「労農同盟」の発展に力を入れたい。
 これらを闘いながら、自主・平和・民主のための広範な国民連合の強化を進めたい。

・強大な革命党建設をめざす
大嶋 肝心なのは党建設です。最後に、この問題をお願いします。

秋山 わが労働党は、独立の革命に勝利して、連続的に社会主義をめざして闘う労働者階級の革命的な政党です。資本主義の末期症状がいちだんと深刻化するなか、党の政治的総路線の真価が問われているわけですから、本格的な党の建設へ確かな一歩を切り開きたいと思っています。
 昨年末の十四中総では、組織建設の諸目標を改めて決めました。これに沿って、全国の同志、細胞・点在、都府県指導部、中央のすべての同志たちに、「即刻党オルグに立ち上がろう」と訴えます。
 十四中総では、そのための中央指導、都府県指導部、現場の細胞・点在の同志たちの活動について決定しました。
 世界はまさに激動し、資本主義は末期症状で、その影響は具体的に地域にあらわれています。党員の回りでは貧困化、格差拡大が進み、殺伐とした諸事件も増えています。多くの同志たちは中央、県党からの適切な提起と方向があれば、大衆のため、党のために何かしたいと願っていることは、この間の経験で確かめられています。党中央は全国政治で情勢に、労組活動家や意識分子にインパクトを与えるような闘争を組織しなければならないと思います。
 ですから、細胞・点在の同志たちに再度、党の建設に立ち向かうよう奮起を呼びかけたい。六大会決議には「全同志の三つの任務」として、「闘うこと」「学習すること」「党を宣伝すること」とあります。これにもとづいて、県指導部、中央の担当同志とよく話し合って、少し前向きに大衆のなかでの活動を進め、党建設に立ち向かって欲しい。 もちろん、都府県でも中央も、指導部が先頭に立ちます。私自身も、全党の同志たちと団結して心を新たにがんばりたいと思っています。

大嶋 例年以上に団結してがんばりましょう。長時間、ありがとうございました。


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