ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2017年3月25日号 1面

多国籍大企業に
国益売る安倍政権 
今国会でも悪法が多数

 売国策動打ち破る声を

 現在行われている国会では森友学園問題の追及にエネルギーが集中している。安倍首相や閣僚など政治家が極右学校設立に協力し国家財産をタダ同然に融通していた疑惑など、安倍政権やおトモダチの「国家の寄生虫」「民族の裏切り者」なる本性があらわとなった疑惑の数々が暴かれるべきなのは当然だ。
 しかし一方で、今国会ではそれ以外にも追及されるべき問題や、打ち砕くべき悪法成立の策動も数多く存在する。自衛隊の南スーダン派遣をめぐる「日報破棄」問題しかり、共謀罪の成立策動しかり。これらのきわめて重要な問題が森友学園問題の追及に隠れてコトが進められることは絶対に許してはならない。
 さらに今国会では、水や食料など国民生活にとって最も基本的で重要な分野を規制緩和し、市場開放と民営化で多国籍大企業の参入に道を開くことがもくろまれている。
 水道法改悪法案は、市町村の水道事業を統合・広域化し民間委託を促進することが主眼で、都道府県に市町村が担う事業の再編計画の策定を求めるほか、事業の民営化を促すために災害時における企業の復旧責任の軽減や料金引き上げ時の手続きを簡素化する内容。水メジャーなどの大企業に儲(もう)けの場を提供するものだが、海外では広域化と民営化が供給の不安定化や料金大幅値上げにつながった例も少なくない。国や自治体が責任を負うべきライフラインを企業に売り払う売国法案だ。
 種子法廃止法案も、日本の農業や食料の根本を切り崩すものだ。同法廃止の影響などについて、「食政策センタービジョン21」の安田節子代表に聞いた。


食料安全保障の土台崩す種子法廃止
安田 節子・食政策センタービジョン21代表
 現在、国会に主要農作物種子法(種子法)の廃止法案が提出されている。種子法は国の食料生産の根幹を守る法だ。これを廃止することは食料安全保障の土台を崩す国家の危機だと言っても言い過ぎではない。
 種子法は一九五二年に主要農作物の優良な種子の生産と普及を促進するために制定された。同法で国や都道府県に対し、基礎食料であるコメ、麦、大豆の品種を開発し、優れたものを奨励品種に指定し、種子を生産し、普及することを義務付けている。
 この三品目は国民の基礎的な食料であり、全国的に作付けされている。そのため需要が多く、優良な種子が安定的・計画的に、かつ安価に確保される必要がある。また気候や土壌など全国の多様な地域的条件に適した品種を育成することも求められる。こうした理由で、この主要農作物の種子については品種開発や生産、流通、遺伝子資源管理等が公的機関によって独占されてきた。
 日本のコメ、麦、大豆の育種技術は世界的にも優れて高く、公的研究機関の研究・技術は農家の拠り所、高い農業生産力の基盤となっている。また主要農作物の生産費全体に占める種子価格の割合は二%台と低く、農家が農業を続ける上では重要だ。種子法の果たしてきた役割は大きい。
 種子法は、これまで数回の改定を経て民間企業の参入を認めるよう規制緩和が進められてきたが、それでも民間が開発した種子の流通は限定的だった。こうした状況を政府の規制改革推進会議の農業ワーキング・グループ(WG)は「民間の参入を阻害している」と決め付け、種子法そのものの廃止を提言した。同時に、国や都道府県が持つ育種素材や施設を民間に提供し、国が民間の品種開発を手助けして流通できるようにもする。それは種子法廃止法案と同時に提出されている農業競争力強化支援法案に盛り込まれている。外資など民間企業が儲かるように、長年に渡って税を投じて築いてきた国民資産を提供し、手取り足取り協力しろという話だ。
 政府はなぜ今このようなことを進めようとしているのか。米国のトランプ新政権の意向で環太平洋経済連携協定(TPP)は漂流することとなったが、日本政府は「TPPが漂流しても日米二国間協議の合意は生きている」とし、米政府とその後ろにいる多国籍大企業の意を推し量っているからだ。規制改革推進会議のメンバーは外資を代弁し米国の力を利用しながら自らの利益を実現しようとする財界人や御用学者ばかりで、農協改革によって農協から信用・共済事業を分離することも狙っているが、これも農村金融市場を横取りしようと狙う日米金融界の要求に沿ったものだ。
 種子法が廃止されるとどうなるのか。根拠法がなくなるため、種子関連の予算縮小は目に見えている。裏付けがなくなれば価格は上がらざるを得ない。
 安い国策種子がなくなれば、民間とりわけ外資のモンサントなど巨大種子会社の参入となる。かれらが市場を握れば、高い種子で儲け、遺伝子特許で儲け、種子に対応した農薬や肥料で儲けることをもくろむだろう。農家は何から何まで企業に従属させられ、搾り取られることになる。離農者は増え、食料価格が上昇することにもつながる。また遺伝子組み換え作物が導入されれば、食の安全の問題にとどまらず、脈々と受け継がれてきた在来種の遺伝子が汚染されるなど、取り返しのつかない状況も予想される。「種子を制するものは世界を支配する」との言葉もあるが、まさに米大企業に国民の主食、命綱が握られることになるだろう。既にカナダやインド、南米など他国では「モンサントの支配」が大きな問題となり、農民を中心とした闘いも広がっている。
  現時点では安定し安価な種子が供給されているため農家の危機感は薄いのかもしれない。種子法廃止に反対する声はまだ大きくはないが、これは農家だけの問題ではなく全国民の問題であることを強調し、警鐘を鳴らしたい



Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2017