ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2017年1月1日号・6面〜8面

2017 新春各界メッセージ

要旨・見出しは編集部による
(順不同・敬称略)

岐路となる重要な年に
社会民主党 党首 吉田 忠智
 新年おめでとうございます。
 明けましておめでとうございます。旧年中、参議院議員選挙をはじめ、社民党に対しご支援、ご協力を賜り、心から感謝とお礼を申し上げます。
 参議院選挙においては、与党と改憲勢力に三分の二以上の議席を与えることとなり、かつてなく危険な政治状況が生まれたことを厳しく受け止めなければなりません。
 秋の臨時国会においては環太平洋経済連携協定(TPP)承認案や年金カット法案、さらにはカジノ法案の強行採決など強引な国会運営が行われ、まさに安倍政権の暴走が国民生活に大きな負担と不安をもたらしました。沖縄においても、差別と弾圧の中で、米軍の新基地建設が強行されています。
 さらに憲法改悪を狙う憲法審査会が再開され、また「駆け付け警護」など戦争法に基づく自衛隊の新任務が付与されました。とりわけ戦争法は、まがりなりにも「平和」を前提とした安全保障から、「有事」「戦争」を前提とした安全保障へと、安倍政権はこれまでの考え方を大きく転換させました。二〇一七年は日本の将来、つまり私たちの生活と平和が大きな岐路にさしかかる重要な年になると言わなければなりません。
 昨年の英国国民投票での欧州連合(EU)離脱決定や米国大統領選挙におけるトランプ候補当選、そして欧州主要国での極右勢力の台頭など、世界的な格差と貧困が差別と排外主義へと誘導される危険な動きが強まっています。社会民主主義の価値と私たちの運動があらためて問われる年になります。
 そうした中、今年は総選挙が必至と見られ、通常国会での冒頭解散も指摘されています。社民党は現有二議席を上回る五議席獲得を目標に選挙準備を進めてきました。野党共闘や市民の皆様との連携を強め、改憲を許さず国民生活の向上をめざし、安倍暴走政治ストップを掲げ全力で闘います。暮らしと政治の転換のため、引き続き皆様方のご支援をよろしくお願いいたします。
 本年の皆様方のご活躍を祈念しメッセージとさせて頂きます。


力合わせ安倍政権に挑む
新社会党中央本部執行委員長 松枝 佳宏
 新社会党を代表して皆様に連帯のごあいさつをいたします。
 新自由主義が社会を席巻して三十有余年。それまで労働運動や社会運動が築いてきた雇用や社会保障が大きく崩されました。その結果、不平等と貧困がまん延し、目を覆わんばかりの時代となっています。
 徴収すべき税を放棄し、財政危機をあおって民衆へのサービス削減と負担増が押し付けられていますが、そのような緊縮財政に対して、人権と生存権を主張して反撃のうねりが起こっています。問題はその不安と怒りがどこを向くかです。移民排斥や近隣諸国への敵がい心に組織され、多国籍大企業とその政治部隊がポピュリズム的手法によって一気に戦後民主主義の清算、憲法改悪にからめとられるのか、それとも憲法の価値を現実化して、安心と希望の社会をつくるのかが問われています。
 国は最高裁も含めて沖縄県民の意思を認めず、抗議の声を力で排除し米軍の新基地基地建設が強行されています。日米安保と地位協定がある限り、沖縄が捨て石にされるだけではなく、「本土の沖縄化」も止めることはできません。内戦状態にある南スーダンで自衛隊員は一触即発のふちに立たされ、戦後曲がりなりにも築いてきた平和国家日本がついに殺し殺される戦争へと足を踏み入れようとしています。
 それにもかかわらず、安倍政権の支持率は比較的高水準で推移しています。政策には不満でも支持率が高いということは、代わるべき政治主体が見えないということではないでしょうか。
 しかし、昨年の参議院選挙で一気に改憲に突き進もうとした安倍政権の野望を食い止めたのは、一人区等での健闘です。それは野党をまとめた民衆の危機感とそれに基づく運動の努力ではないでしょうか。新社会党も各地でその一端を担ったことに誇りを持っています。
 この流れを強く大きくするために、民衆の貧困と不安を希望に変える政策と運動は待ったなしです。労働苦と生活苦にあえぐ民衆の共感を得る政策と運動こそが必要です。そしてそれを自らつくり上げ、その無数の力を連ねて新自由主義とその代理人である安倍政権に闘いを挑む、そのような二〇一七年を共に切り開きましょう。


ルビコン川を渡らせまい
自主・平和・民主のための広範な国民連合代表世話人 西澤 清
 沖縄で米垂直離着陸輸送機オスプレイが墜落しました。安倍政権は二〇一三年に憲法解釈を変え、集団自衛権行使に踏み込みました。昨年自衛隊を南スーダンに派遣しました。米国ではトランプ候補の大統領選挙勝利、韓国は朴槿恵大統領弾劾、日本の「同盟」国の首長に関して想定外の事態が起こりました。また「北アフリカ戦争」による難民は欧州に溢れ出し、それをきっかけに民族問題など矛盾が顕在化しました。排外的な意識をむき出しにした「右翼」が世界的に台頭しています。
 今こそ日本は主権を確立し、憲法前文にある「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会」グループの一員として、世界を覆う危機的な暗雲を払いのける努力をしなければならないのです。
 しかし安倍政権は逆の方向に進んでいます。オスプレイ墜落で明らかになったように、トランプ選挙で矛盾の露見した米国に尾を振って追随し、日本を貶めようとしています。
 昨年暮れの「民営賭博許可法案」をめぐる経過は、国民の目に政治の堕落を明らかにしました。日本の現行法では「カジノ=民営賭博、戦争=殺戮・破壊」は犯罪です。犯罪を日常の社会生活に組み込む法律を政府と立法府は強行したのです。主権を失った堕落した政治はこの国を破綻に追い込むに違いありません。
 マスメディアの宣伝などで目をくらまされている国民だけではなく、多くの人が今の状況を憂いていると思います。今こそ「救国」を願う広範な国民が手を携える時だと私たちは考えています。敗戦の年の一九四五年に七十二年間時間を巻き戻してみましょう。現在の日本と大変似ています。今年を戦前元年としないため、戦争への道を繰り返さないため全力を挙げてお互いにがんばりましょう。


不当な制裁撤回へ断固闘う
在日本朝鮮人総聯合会中央本部

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 私たちは皆さんが、独立と自主、アジアとの平和と共生、労働者の権利拡充のための運動を果敢に繰り広げていらっしゃることに敬意を表します。
 また民族教育をはじめとする在日朝鮮人の諸権利の確立、そして日朝国交正常化と朝鮮の自主的平和統一をめざす運動に変わらぬ声援を寄せてくださっていることに心より感謝申し上げます。
 安倍政権は、二〇一四年五月に拉致問題の再調査を含むストックホルム合意がなされ対話の道が再開されたにも関わらず、昨年はわが国に対する制裁を復活・強化させ、合意を一方的に破棄することで自ら拉致問題の解決も遠ざけてしまいました。特に朝鮮総聯と在日朝鮮人に対し政治的抑圧と差別・人権侵害を強め、朝日関係を最悪の状態に追いやっていることは大変遺憾なことです。
 ましてや、朝鮮学校生徒たちを高等学校等「就学支援金」制度適用から除外したのに続き、昨年三月二十九日には各地方自治体の判断に委ねられている補助金交付について、文部科学大臣の名義で「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」と題する不当な「通知」を出したことは、きわめて政治的で差別的な措置と言わざるを得ません。
 私たちは、日本政府が不当な制裁を撤回し、朝鮮総聯に対する政治的弾圧と民族教育に対する差別、在日朝鮮人に対する人権蹂躙(じゅうりん)を直ちに中止するよう要求し闘っていく所存です。
 私たちは今後も、平和を愛し差別に反対する広範な日本の方がたが私たちの闘いに連帯して下さることを願ってやみません。
 新年を迎え、今後とも在日同胞の生活と権利を守り抜き、朝日友好親善と祖国の自主的平和統一ための私たちの運動に変わらぬ支持と声援を寄せて下さることを期待し、皆さんのご健勝とご多幸を心よりお祈りいたします。


憲法改悪許さぬ協働の闘いを
部落解放同盟中央執行委員長・組坂繁之
  安倍政権は昨年十一月に和平合意が破綻している南スーダンへの自衛隊派兵を強行しました。しかも派兵された自衛隊には憲法違反の「戦争法」に基づいて「駆けつけ警護」「宿営地の共同防護」の任務が付与されています。自衛隊が戦争行為に加担することによる先取り的な憲法改悪を断じて許してはなりません。
 この間の社会保障制度の削減や労働法制の改悪、辺野古新基地建設、TPP問題など、まさに対米従属の下での日米軍事同盟の強化に向けた体制づくりが進められています。
 貧困や格差の問題が深刻化しているにもかかわらず、固定化する不安定就労や低賃金の実態を背景とした社会への不満や不安がヘイトスピーチなどのような差別排外主義と安易に結びつき、公然と差別を扇動する差別状況が生み出されています。
 私たちは、部落差別に反対する幅広い取り組みを進め、昨年十二月に「部落差別解消推進法」を制定することができました。この法律は、いまだに部落差別が存在することをふまえ、あらためて「部落差別は社会悪である」ことを明確にし、国や自治体による部落差別解消に向けた相談体制と教育・啓発の充実、また実地調査などが盛り込まれています。
 こうした闘いの成果を踏まえ、いまだに部落の地名をインターネット上に掲載し、差別を拡大・拡散する確信犯的で悪質きわまりない差別事件や、いまだに結婚差別事件が起こるこの社会の差別構造を変革していかなければなりません。
 狭山再審の闘いも、ウソの「自白」によって発見された被万年筆が被害者のものではないことが明らかになり、石川一雄さんの無実はいっそう明らかになりました。
 私たちは、こうした部落解放運動の課題と取り組むとともに、戦争と差別に反対し、人権と平和、民主主義の確立をめざした協働の闘いを強化していかなければなりません。「部落差別解消推進法」の制定を大きな契機としながら、多くの人権課題、差別問題の取り組みと連帯しながら、共に総合的な人権の法制度の確立をめざしましょう。


苦境を好機に転換できる
全国農業協同組合中央会会長・奥野長衛

 新年にあたり、謹んでごあいさつを申し上げます。
 昨年は、四月の熊本地震、八、九月の台風被害など、多くの自然災害が発生しました。被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興に向け、JAグループをあげた対策を尽くして参りたいと存じます。
 さて、本年は酉(とり)年ですが、鶏は古くから人に時を報せる動物であります。昨年は、政府における「農業競争力強化プログラム」の策定や、国会における環太平洋経済連携協定(TPP)協定の批准など、日本農業に大きな変革をもたらす出来事が相次ぎました。そうした一年が明け、新年の始まりとともに、私は大変革期の始まりを告げる鶏の鳴き声が響いているように感じます。
 折しも、日本農業は、農業者の世代交代、日本全体の人口減少や高齢化に伴う国内需要の減退、さらには世界規模での農地・水・食糧の争奪戦といった環境変化にさらされております。私たちJAの事業や運動も、否応なく改革を求められております。
 改革は時として耐え難い苦痛を伴うこともありますが、協同組合理念を共有するJAグループの組合員、役職員が一致結束し、私たちが決めた自己改革にまい進すれば、必ずやこの苦境を好機に転換することができると、確信いたしております。
 JA全中としましても、第二十七回JA全国大会で決議した自己改革の取り組みを加速化するために、JAグループ内外との精力的な対話に努め、自己改革を後押しするような政策提案や、他の協同組合組織をはじめとして、他業態・他分野の企業、団体等との連携を働きかけ、都道府県中央会や現場のJAの取り組みを支援してまいります。
 本年も引き続き、JAグループならびに本会の取り組みや事業運営につきましてご理解とご協力を賜りますことをお願いし、二〇一七年の年頭にあたってのごあいさつとさせていただきます。


労働条件改善に全力尽くす
全日本トラック協会会長・星野良三

 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 一六年を振り返りますと、昨年十二月に石油輸出国機構(OPEC)の原油減産合意がなされた一方、米国の利上げにより円安が進行するなど、本年の燃料価格の動向はこれまで以上に注視していく必要があると思います。
 国内経済情勢を見ると、人手不足が強まった年となりました。労働条件が一般産業と比べ劣るトラック運送業界ではドライバーの確保がいちだんと厳しくなっています。
 このため、全ト協は二つのことに取り組んでいます。
 一つは「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」の設置及び運営です。労働基準法の改正を期に、荷主も入った形で中央及び四十七都道府県すべてにつくられました。わが業界始まって以来の取り組みであり、手待ち時間の解消や附帯業務の有償化など、全ト協及び地方ト協が連携して総力を挙げて取り組んでまいります。
 二つ目は「準中型免許」の創設です。わが業界にとって「中型免許問題」が長年の懸案でしたが、昨年の道路交通法改正で高校新卒者が二トン車を運転することができる免許がつくられました。本年三月の施行を踏まえ、若年労働者の確保がますます難しくなる中、あらゆる施策を投入し高校新卒者の大量採用を実現してまいります。
 結びとなりましたが、本年も皆様方のますますのご発展とご健勝並びにご多幸を心より祈念し、新年にあたり私のごあいさつといたします。


政権打倒めざし闘う年に
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長 武建一
 常日頃から大隈議長はじめ大阪府党員の皆様には大変御世話になっておりますことに心より感謝と御礼を申し上げます。
 われわれは本勤労働者一人当たり一万円の賃上げ、日々雇用労働者一日当たり五百円の賃上げを四年間連続して実現し、また本勤労働者の雇用促進と関西二府四県の生コンクリート協同組合の値戻しを実行し下請運送会社の運賃の値上げに貢献するなど、大きな成果の年でした。さらに沖縄県の基地撤去闘争のため現地にセンターを確立し専従者を派遣したり、沖縄現地にミキサー車を持ち込みパレードを行ったこと、第七期沖縄意見広告運動の成功(いま八期を取り組んでいます)、戦争法案阻止に向けた経営者との合同集会とデモ行進、山城博冶さんを迎えての三百五十台による戦争法反対を訴えるミキサーパレードの成功、韓国労働者との連帯行動として現地への宣伝カー派遣による百万人大衆行動への参加、原発再稼働、TPP阻止、地震災害支援として熊本県宇土市への五百八万円カンパ活動など多岐にわたる運動の年でした。
 新年は労働党の皆様と共に、次の取り組みを行います。
 資本主義は体制的危機を迎えていますが、自動的に崩壊することはありません。資本主義打倒に向けて主体的に闘う体制強化に取り組みます。世界では共生協働社会をめざす闘いが発展しています。情勢に確信を持って闘います。
 昨年の未解決課題に全力を尽くします。沖縄県民への差別、大阪府の機動隊員による「土人」発言に対する松井知事の容認姿勢、沖縄オスプレイ墜落に対するニコルソン四軍調整官の「住民に被害を与えなかったパイロットに感謝すべき」との発言は絶対に許すことはできません。
 今年は沖縄基地撤去、辺野古新基地阻止に向け全力を尽くす年です。
 安倍政権は行き詰まった経済、外交政策を強権的スタンスで解決しようとしているが、これは自らの墓穴を掘るだけです。
 安倍政権打倒をめざし闘う年です。われわれは労働組合と協同組合の協力連携運動による経済、産業の民主化に全力を尽くしつつ万余の組織拡大とストライキはじめ大衆闘争で勝利の道を切り開く年とします。
 労働党の益々の発展を祈念いたします。


団結して国に異議唱え続ける
衆議院議員=沖縄4区 仲里 利信
 新春のお慶びを申し上げます。
 皆様におかれましては、新年を迎えるにあたり、この一年を輝かしい実りある年とするため、さまざまな抱負と計画を立てられ、実現に向けてまい進されることと存じますが、ぜひ実現に結びつくよう衷心より祈念いたします。
 さて、昨年はわが国の議会制民主主義が崩壊したのではないかと思われた年でありました。国民や労働者の生活に直結するきわめて重要な法案を、国民の強い反対意見にもかかわらず、しかも国会での十分な審議時間を取らずに、体裁だけを整えて強行採決を繰り返すありさまでしたが、このようなことは本来許されることではありません。
 そこには、数におごった独善的な思いが透けて見え、きわめて危機的な状況であると危惧しているところであります。
 そのような政府の強権的な姿勢が如実に示されたのが、沖縄県名越辺野古の新基地建設工事や東村高江のヘリパッド建設工事に対する警備でした。これら二つの工事を阻止するため、非暴力で政府に抗議した地域住民や市民に対して、政府は全国各地から強健な機動隊員約六百人をかき集めて、住民や市民を暴力的に排除しています。このような形振り構わない強引なやり方だけでなく、挙句の果てには市民に向かって「土人」や「シナ人」という差別発言を行うありさまです。
 しかし、このようなことは沖縄だけのことではありません。おそらく全国各地で日常的に権や民主主義、地方自治を押し潰そうとするさまざまな企てが今後次々と出てくることが考えられます。
 政府が今取り組もうとしていることは、物事をすべて自らが決定する中央集権的な国家をつくり上げようとすることだと思われます。
 われわれがこれに抵抗するためには、一人ひとりが声を上げ、団結して政府に異議を唱え続けることです。沖縄県民はそのために「オール沖縄」をつくり上げ、多数の県民が心を一つにして政府と真正面から対峙(たいじ)しています。
 新しい年はこの「オール沖縄」を全国各地に広げて「オール日本」をつくり上げたいと考えております。
 そのためにも、皆様と連帯してがんばっていく所存です。


アジアと真に互恵的な連携を
鈴木 宣弘・東京大学教授
 新年明けましておめでとうございます。
 今年は米国でトランプ新政権が発足します。トランプ氏は市民側に立つ人物ではなく、そもそも「米国最優先」「他国の負担を増やすことで米国産業の利益と米国民の雇用を取り戻す」と言っているだけです。「環太平洋経済連携協定(TPP)には署名しない。二国間の自由貿易協定(FTA)でよい。日本の負担が足りない」と。だから今後日本がいっそう譲歩させられた日米FTAが成立することになりかねません。日本のTPP強行批准は、TPP水準をベースラインとして国際公約し、今後のアジアとのFTAなどでは投資・サービスの自由化を強要する最低線となり、米国にはさらに上乗せした国益差し出しを確約するものです。ずるずると米国の要求に応え続ける姿勢から脱却できない限り、問題は永続します。
 日本の経済界が今もTPPに固執するかのような発言をするのは、過去の二国間FTAでアジア諸国などに徹底した投資・サービスの自由化(対等な競争条件)を強要したが、それがまだ不十分だったのでTPPで強化されることに期待した側面があるからです。過去の多くのFTAの事前交渉に参加した私は、日本の経済界の露骨な要求を、途上国の人びとを人とも思わないような態度で罵倒して突き付ける日本政府(関連省庁)の交渉姿勢を非常に恥ずかしく情けなく思ったものです。TPPでの米国の態度と、アジアとのFTAでの日本の態度と要求事項は、実はそっくりです。
 今こそ、一部の企業への利益集中をもくろむ「時代遅れ」のTPP型ルールではなく、「共生」をキーワードにして、特に食料・農業については、零細な分散錯圃(さくほ)の水田に象徴されるアジア型農業が共存できる、柔軟で互恵的な経済連携協定の具体像を明確に示し、その実現に向けて日本とアジア諸国が協調すべきときです。思考停止的・盲目的な米国追従から脱却するには、アジアと世界の人びとの共生のためのビジョンと青写真を早急に提示することが不可欠です。
 今年もそのことを声を大にして訴え続けるつもりです。


消費税の税率を5%に
湖東 京至・元静岡大学教授、税理士
 日本社会はかつてなく貧富の差が大きくなっています。原因は多々あると思いますが、税制の観点からいえば、「あるところから取らずないところから取る」仕組みに問題があります。たとえば法人税ですが、大きな利益を上げている大法人の税負担がきわめて小さいことです。所得税では最高税率を引き下げていますし、個人住民税ではすべての人が一律一〇%の税率になっています。
 そのうえ、消費税は物価というかたちで低所得者層にまで負担を求めています。消費税は三%で導入されましたが、その後五%になり、二〇一四年四月から八%に引き上げられました。その結果、景気はいっそう冷え込んでいます。しかし今後、安倍政権はさらに一〇%に引き上げようというのです。これはいっそう労働者の給与を引き下げ、景気を悪化させる働きをします。
 景気を回復し、人びとの生活を少しでも改善し、格差社会をなくす一歩とするために、まずやらなけばならないことは消費税の税率を八%から五%に引き下げることです。そして次に三%に、最終的に廃止することが必要です。
 そういうとすぐ「財源はどうするのか」という人がいます。心配は要りません。財源はいくらでもあります。「不公正な税制をただす会」が毎年、不公正を是正したらいくら税収が増えるか「財源試算」をしています。それによると、一六年度で国と地方を合わせて二十八兆円の増収財源があるとしています。しかも庶民から取り立てるのではなく、大企業、高額所得者、資産家から応分の負担をしてもらうのです。
 「税金のないところから取らない、あるところから取る」。これを応能負担原則といいます。格差社会をなくすためにはこの原則に基づいた税制をつくることが必要です。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2017