20020325

有事法制 米国の戦争に従わせ、アジアに敵対
広範な国民運動で反対しよう


 小泉政権は、今国会での有事法制整備を画策している。安保基本法案、安保会議設置法改正案、自衛隊の行動の円滑化に関連する法案、米軍の行動の円滑化に関連する法案の四法案を、4月上旬にも国会に提出するとしている。冷戦終了後、日米安保の存在理由が問われる中で米国は、95年の「東アジア戦略」でアジア地域での2000年10月にアーミテージ国防次官補(当時)らが報告を出し、中国、朝鮮民主主義人民共和国の脅威をあおり、日米軍事同盟のいっそうの強化を日本に迫った。そうした中で、昨年の米国同時テロがあった。有事法制は、こうした米国の圧力のもとで準備されてきた。また、わが国財界の主流も、軍事大国化を求める志向をもっている。小泉政権はこうした意向を受け、国民を徴用し、自治体にも強制的に協力させるなど、戦争への総動員体制を準備しようとしているのである。有事法制はまた、アジアに敵対する道である。これに反対する広範な国民運動を巻き起こさなければならない。今川正美・衆議院議員(社民党・外交防衛部会長)、山内徳信・基地の県内移設に反対する県民会議共同代表で沖縄県前出納長に聞いた。また、北海道平和運動フォーラムの戸田利正事務局長のコメントを掲載する。


国民総動員体制狙う
衆議院議員 今川 正美氏

 小泉首相は、盛んにテロとか「不審船」をあおり立て、有事法制の環境をつくろうとしている。  有事法制で注目すべきは、1995年に当時のナイ米国防次官補が中心になって出した「東アジア戦略」がある。これをベースに日米安保共同宣言がやられた。「安保は、広くアジア太平洋の平和と繁栄のための要(かなめ)である」と。これは安保の大きな転換点だった。さらに日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)で合意し、2国間の約束事を法的に裏づけようと、3年前に周辺事態法をつくった。
 もう1つは、2年前に出たアーミテージ報告だ。朝鮮半島、台湾海峡、インドネシアなどをあげて、米国が今アフガンやイラクにやっているように、米国の戦略、国益に基づいて介入するぞと。そのときに、日本の自衛隊はきちんと協力しろとなった。そのための法律をつくっておこうというのが有事法制だ。在日米軍や自衛隊が、自由勝手に日本中を飛んだり走ったり、物資を運んだりして、民間も自治体も、国をあげてその支援をしろということだ。まさに総動員体制だ。
 小泉首相は、有事法制を憲法の枠内でつくると言うが、戦争を放棄した憲法の枠内でどうして戦争をするための法律ができるのか。子供だましもいいところだ。
 戦後、憲法を制定するときは、わが国の平和は武力で守る、米軍の力を借りるということではなかった。国際機関で公正公平に紛争に対処する原則と、アジアで話し合いの枠組みをきちっとつくっていく努力が必要だ。政府にはこの考え方が抜けている。
 東南アジア諸国連合地域フォーラム(ARF)は、冷戦後は安保対話の格好の場所になった。アジア全域を包み込み、お互いに信頼関係を基礎にした対話の枠組みができる。そんな時代にすべきだ。(社民党・外交防衛部会長)

アジアに基軸おくべき
基地の県内移設に反対する県民会議共同代表 山内 徳信氏

 日本の政治家は沖縄を日米安保のいけにえにし、57年間も人権を無視し、政治的に差別してきた。有事法制によってさらに沖縄の基地が強化されていく。今、基地の県内移設と言って、名護市の東海岸に新たな基地をつくろうとしている動きと、有事法制の動きは一体で進められた日米両政府の意図だと思う。
 小泉首相は「備えあれば憂いなし」と言葉たくみだが、過去の日本の惨状を忘れ、憲法を踏みにじって、今後アジアのどこかで戦争や地域紛争が起こったら米国のブッシュと一体となって、「それいけ」と戦前の日本の政府、軍隊がやったことと同じことをしようとする。沖縄戦を体験した者として絶対に有事法制化は許せない。国民を戦争に巻き込むような政治は一日も早く終わらせなければならない。
 日本はアジアの中にありながら米国に追従してきた。20世紀の太平洋戦争の補償問題も依然として解決しないし、沖縄の旧軍用地の問題も進展しない。今のような姿勢を続けていくと、アジアの国々や世界の国々から信頼されるようにはならない。ましてや、沖縄にアジア諸国に銃口を向ける新たな基地建設などもってのほかだ。
 基軸をアジアに置いて、アジアの国々と共生、共存、連帯の道を歩むべきで、日本の進むべき道はこれしかない。
 小泉政権は、「構造改革」も含めて実際はもう破たんしている。こういうときこそ、私たちがしなければいけないことは、今の政治状況を打開するために、声を大にすること、労働者、市民、平和勢力が立場を超えて団結し、国民を巻き込んで闘うことだ。(沖縄県前出納長)

強力な運動を展開する
北海道平和運動フォーラム事務局長 戸田 利正氏

 今回の有事法制の1番の問題は、「日本の有事に備える」というのは、あくまで口実であって、実際は新ガイドラインで取り決めた米軍の戦闘行為への協力法案であるということにつきる。国会の論議でも政府は、日本への他国の侵略の可能性については否定せざるをえなかった。しかし、周辺有事による日本への影響については否定できないでいる。米軍による日本の軍事基地の使用が他国からの攻撃の対象となることを認識しているのではないか。
 国会に提出される法案は、米軍の戦闘行為をいかにスムーズに日本の自治体、民間、国民が支援できるかに主眼をおいた内容になるのではないか。
 北海道平和運動フォーラムは、3月8日に札幌市で全道集会を開催、14日の中央集会にも自主的に30人を超える代表団を派遣、道内選出国会議員団への要請行動も行った。全道での署名運動も開始している。
 昨年のテロ特措法では、廃案をめざし北海道単独で国会前座り込み行動なども行った。
 有事法制に関しては、これからもこれをしのぐ運動の推進を図ることを決定している。

日米安保の最近の経過
95年2月  米国防省「東アジア戦略」報告 アジア太平洋地域の米軍10万人の存在を保持する。
96年4月  日米安保共同宣言 米国の対アジア政策の礎石としての日米安保体制の重要性を強調。
97年9月  日米防衛協力のための指針
99年4月  新ガイドライン関連法成立
00年10月 「アーミテージらの報告」 中国、朝鮮の脅威をあおり、日米関係を米英関係並みにと強調。
01年10月 テロ関連法案成立 02年4月  有事法制を国会提出(予定)