20010415

東京 介護保険実施から1年

急務となった抜本見直し


 シンポジウム「介護保険 その嘘(うそ)とすり替え―市民の会の提言を踏まえて検証する」が四月七日、東京で開かれた。主催した「介護保険を考える市民の会」は、九七年の介護保険法の成立後に伊藤周平氏(九州大学助教授)などが呼びかけたもの。
 シンポジウムでは、鈴木恂子氏(特別養護老人ホーム信愛泉苑苑長)、石井宏一氏(会員・元都職員)、伊藤周平氏がパネラーとなった。
 鈴木氏は「先日も、高齢者から深夜にSOSの連絡があった。急いで巡回ヘルパーに行ってもらい、事なきを得た。しかし、福祉の支援センターなどがない場合、助けることができない」と、介護保険制度の問題を指摘した。
 石井氏は「政府は社会保障に金がかかるので増税が必要だという。だが、社会保障給付費の対国民所得を国際比較で見ると、スウェーデン五三・七%、フランス三七・七%、福祉が充実していないといわれる米国でも一九・四%だ。だが、日本は一五・二%でしかない」と政府のうそを指摘した。
 伊藤氏は「厚生省は、在宅高齢者の三三%しか介護保険を利用しないという計算で予算を立てている。残り三分の二の高齢者は、家族がみるという前提で、全員が介護保険を利用すると制度は破たんする」と、制度そのものの欠陥を指摘した。
 さらに氏は「低所得者は介護保険の利用を抑制し、払える範囲のサービスしか受けていないのが実際だ。一方、高所得者はサービスを十分利用できるので、低所得者の負担で高所得者がサービスを受けている。もっと『負担能力に応じた負担を』との声を上げていこう。そうしないと、介護から排除される人が増えてしまう」と提起した。
 その後、質疑応答など熱心に行われ、引き続き声を上げていくことが確認された。
 介護保険一年を経て、ますますその矛盾が明らかになりつつある時に行われたシンポジウムは、今後の社会保障のあり方を探る上でも重要なものとなった。