ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2017年5月15日号 投稿・通信

不当解雇受け、裁判闘争

正しい労組は経営に嫌われる

匿名・動物介護士、女性

 昨年十二月三十一日付で私を含め、釜ヶ崎地域合同労働組合の組合員三名が不当解雇されました。私たちは動物病院で動物看護師をしており、労働組合員は解雇された私たち三名だけでした。解雇理由は組合嫌悪、人格非難であり、解雇権の濫用のそしりを免れません。この不当解雇には、院長だけではなく、マネージャーと称する院長の妻も深く関わっています。

「不満ならほか探したら」
 私は二〇一三年十二月に動物病院のホームページで動物看護師の求人を見つけ、応募しました。翌一四年三月からアルバイトとして働き始め、四月から正社員になりました。病院の受付時間は九時〜十三時と十七時〜二十時で、十三時〜十七時の間は手術をしていました。
 最初におかしいと思ったのは、アルバイト料が日給五千円で最低賃金以下だったことです(勤務時間が八時半〜二十時、実働十時間半)。なので、正社員になってからちゃんと雇入通知書を確認しないといけないと思いました。
 正社員になった四月からは月給制(一日八時間労働プラス二時間残業込、休憩一時間で十八万六千五百円、週休二日または三日)になり、勤務時間はアルバイトの時よりも多くなり二十時以降も仕事をしていました。正社員になっても雇入通知書や雇用契約書がないままだったので、六月ごろに雇入通知書がほしいことを院長に伝えると「不満があるなら、他を探したら?新卒にこんだけ給料やってるとこ、ないで」と言われました。
 確かに給料だけを見たら他より少しよいかもしれませんが、労働時間が違法なほど長く、休憩も一時間も取れないことが多くありました。弁当を十分で食べて手術の手伝いなどをするということもありました。私は八時半までに出勤して、終電があるので遅くても二十三時半には帰っていましたが、病院の近くに住んでる看護師さんたちは日にちが変わってもまだ働いていることもありました。また、十九時半〜二十時までの賃金が未払いで、さらに、二十時以降の残業代は一年目は時給五百円でしたので最低賃金以下でした。
 動物に噛まれたり引っかかれたりしてケガをしても、労災保険の手続きもしてくれませんでしたし(動物病院内で消毒しガーゼを張り、動物病院の抗生剤を飲んで治していました)、正社員のはずなのに国民健康保険に入らされていました。雇用保険にも入っていませんでした。忙しくて有給休暇も使えませんでした。それらを棚に上げ、「たくさん給料をあげている」と言うのです。
 この動物病院には労働組合がありませんでしたが、院長と話し合うことはできると思っていました。しかし、院長に給料のことや労働条件のことを聞くと「僕は分からないから、税理士か社労士に聞いて」と言われ、税理士に聞くと「私は知らない」と言われ、社労士に聞くと「労働時間は週四十時間を超えていない」と平気でウソをつかれました。また、院長が「僕から聞いとくわ」と言いながら返事がないままということもありました。こうした院長らの態度では話し合いができないと思い、二年目の五月に釜ヶ崎地域合同労働組合に入りました。

労働組合に加盟して
 団体交渉を何度か行い、未払い賃金を精算してもらいました。
 労働条件が不明で、労働者が十人を超えており、また、院長の「不満があるなら他を探したら?」「自分(労働者)ら五、六時間は遊んでる」「言うこと聞かんなら看護師は他にもおる。総入れ替えも考えてる」「看護師は病院のために何してくれてんの? もっと病院の物売ってよ。訪問介護とかしてよ(看護師の人数が少なく、手が回らないのに仕事を増やそうとします)」などの身勝手な言い分から労働者を守るために就業規則が必要だと思い、就業規則を作成するようにも要求しました。
 しかし、「社労士にお金かけて作らせた」と言い院長から渡されたものは、労働基準監督署に届けた際に押される印鑑もなく、肝心な必須項目である始業就業の時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項が記載されていませんでした。
 必須項目が記載されてないことを伝えると「じゃあ自分で作って」と言われました。就業規則の作成義務は経営者側にあるので、私は作成しませんでした。
 この就業規則について二〇一六年九月に労働基準監督署にも申告しましたが、支払いを二つの会社に分けてるので従業員が十人に満たないという会社側の言い分が認められ、就業規則は作成されませんでした。実際には十一人なのに、動物病院のみから支払われているのが四人、病院と法人との両方から支払われているのが五人、法人のみから支払われてるのが二人。しかし、住所、電話番号、使用者、タイムカードは一つであり、病院も法人も一体です。税金対策や保険料を安く抑えるために支払いを分けていたのだと思います。
 この時の労働基準監督署の調査は不公平かつ不十分だったと思い、個人情報の開示を求めました。すると、黒塗りで調査内容が不明だったので、現在、黒塗りの開示を求める審査請求中です。
 二年目になると保険証を渡され、各種保険に加入しました。しかし、給料が病院だけでなく、法人からも支払われるようになり、法人の方でしか保険を掛けていませんでした。これだと正しい保険料ではないと思ったので、院長と話し合い、三年目からは支払いを二つに分けずに合算してもらいました。そして、獣医さんが勤務時間について院長に掛け合ってくれたこともあり、私と次に新しく入ってくる人からは八時半〜十七時半か、十二時〜二十一時(休憩一時間、週休二日)の二交代制の業務体制に変わり労働時間も減りました。

賃下げか、解雇か
 三年目の八月ごろからマネージャーと称する院長の妻が病院に頻繁に来るようになり、経営不振を理由に獣医師一人と看護師一人の給料を下げるための面談をするようになりました。
 本人はマネージャーと言っていますが、私は肩書を書面でほしいと伝えましたが拒否されました。看護師も獣医師も労働条件の不利益変更を拒否するとマネージャーに「これは決定事項です。これに応じないなら退職するのが社会通念です」と言われました。その看護師さんはどうすればよいのか分からず悩んでいたので、私が「時給を下げるのに応じなくていいし、辞めることもない。団体交渉で話し合いましょう」と言い、その人も釜ヶ崎地域合同労働組合に加入しました。
 十一月の団体交渉で院長の意見が変わることはなく、不利益変更に応じないなら十二月三十一日で解雇ということでした。なので、看護師と獣医師の解雇撤回を求める要求書を作成し、病院の労働者に署名してもらい院長に渡しました。
 十二月になり、未払い賃金を請求したいということで別の看護師さんも釜ヶ崎地域合同労働組合に加入しました。団体交渉で院長に未払い賃金を請求すると「過去の分を清算するんやったら、来年の新しく提示してた給料を減らす」と言われました。未払い賃金を請求したから給料を下げることは報復ですし、経営不振である十分な説明がないまま解雇や減給には応じられないことを伝えると「僕はこれ以上言えないから、弁護士と話して」と言ったので、十二月二十七日に病院の顧問弁護士の事務所へ行きました。そこには院長、マネージャー、弁護士がおり、マネージャーから私たち三人の解雇通知書及び解雇理由書が渡されました。
 私が一年目から求めていた労働条件の明示は、解雇日の前日十二月三十日にようやく渡されましたね。

不当解雇撤回を求めて
 社会人になって思ったことは、労働組合は不満を言うから経営者から嫌われるのではなく、正しいことを言うから嫌われるのだということです。これからも労働環境を良くするために正しい事を言い続けようと思いますし、労働者ももっと自分のために法律を知るべきだと思いました。
 あと、院長が「僕、ブラックじゃないよ」と言っていましたが、社会に出回っている「ブラック企業」という言葉は漠然としていて嫌いです。はっきりと「違法企業」と言ってほしいです。私は法律を守って普通に働きたいだけなのに、今の社会はそれが普通ではなく、難しいみたいです。
 他の動物病院でもこのような労働環境だと聞いたので、「しんどいから」と言って辞めるのではなく、この病院から変えていくべきだと思いました。私は違法な慣例を引き継ぎたいとも思いませんし、違法な慣例を後輩に押し付けたくもありません。
 私たちはこの不当解雇の撤回を求める裁判をします。私たちはまだ働きたい、解雇される理由なんてないんだということを裁判で認めてもらい、三人で胸を張って職場復帰したいと思っています。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2017