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労働新聞 2017年4月25日号 投稿・通信

おれの「熊本地震から1年」(1)

熊本市・中川 新一

 おれの住む所は老若男女、約百五十人、五十世帯。横十件、五階建ての熊本市営住宅。築三十年。二十年前の阪神淡路大震災の時に自治会をつくり、これまで災害時の対応を話し合ったり、消防署職員の指導を受けての消火訓練等をやってきた。ポリタンクを五十件分購入し水の備蓄をやってきた。おれはこの団地ができた時以来、市から管理人の委嘱を受け、条例によって建物の危険防止の市への報告義務を負っている。横十件に一人の班長を置き、一年交代でその班のリーダーをしてもらい、住民代表は自治会長にしている。駐車場管理、集会室、会計等の責任者を置き、おれは市が入らなければ問題解決ができないことに対応する、市長の委嘱する市への協議、申し入れ、解答受けの任である。自治会長は住民の代表で住民の要望とか出してくることもあるが、厳密には条例に照らし合わせて、市当局が判断する。それでもおれ一人しか市の窓口でしかないため、その立場を利用して、市に強く出ることもある。単なるイエスマンではない。
 昨年、四月十四日午後九時半、経験したことのない大きな地震が起きた。すぐに班長は横十件に一軒一軒声をかけて家族の安否を確認し、「世帯主の方は公園に集まってください。団地の緊急集会を行います」と、普段の申し合わせ通り行動してくれた。おれはいつも身近に用意していたヘルメットにキャップライト、作業服、長靴、それに筆記具持ちといういで立ちでいちばんに公園に出た。続々と住民が集まり、十分で世帯全員の世帯主五十人がそろった。半数くらいが手にライトを持って出てきた。
 「自治会長さん、各班長から状況を確認してください」とおれが最初に声を上げた。自治会長が「一班から順に報告してください」というと「一班は十件皆無事です」と報告。二、三、四、五各班長も「皆無事です」と。報告が終わると皆安心したのか、「凄い地震だったね。家のなかどうもなかった?」「うちはちょうど風呂から上がったとこだったのよ」などと雑談が始まったので、しばらく成り行きに任せた後、おれは言った。「また何かあったら、こんなふうに組織的な対応をしてください。電気もガスも水も出ます。後はご自分の判断にお任せするということで、この緊急集会を散会しようと思いますがいかがでしょうか?」と。「それがいいね。あー怖かった。さあ帰ろう、帰ろう。帰って飲み直そう」と言って帰っていった。皆の帰りを確認して、おれも帰って一杯飲んだ。あたりは真っ暗。外の周りがどうなっているのか、翌日にならないと分からない。
 そして翌日、自分はびっくりすることになる。(続く)


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