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労働新聞 2016年12月5日号 投稿・通信

毎日考える日本とアジアのこと

忙殺される日本語教師

埼玉県・松本 みゆき

 私は、日本語学校でアジアからの学生達に日本語を教えています。学生達は日本語学校で日本語を学び、大学、専門学校へと進学していきます。毎日の仕事を通じ、日本とアジアの関係や職場の労働条件のひどさなどを考えさせられています。
 日本は二〇二〇年までに外国人留学生を三十万人にする計画を立てました。ここ数年の特徴は、留学生が中国中心からアジア各国へと広がったことです。現在、日本にいる留学生は二十万人を超え、最多を占めるのは中国人で九万人、次いでベトナム人が四万人弱。とくに二位のベトナム人留学生が爆発的な伸びを示しています。日本政府の中国に対する敵視政策により。ベトナムとの関係を強めていることが影響していると思います。
 ベトナムをはじめネパール、スリランカなどは漢字文化圏ではありません。したがって、教育現場は漢字を教え、定着させることに試行錯誤している状況です。
 日本の高齢化や高卒者数が急激に減ることで起こる「大学一八年問題」(十八歳人口が一八年ごろから減り始め、私立大学などの閉校が予想される問題)や三十万人計画目標の達成のために留学生が急増し、日本語学校は教師不足が深刻になっています。そのため専任教師の仕事の負担は大きくなるばかりです。
 学生たちは、日本語学校に最長二年在籍したら大学や専門学校に進学します。「日本学生支援機構」の調査では、一五年度の留学生は大学で前年比三・五%増、大学院は前年比二・四%増であるのに対し、専門学校は前年比三二・三%と大幅に増加しています。ベトナムをはじめとする非漢字文化圏の学生達のほとんどは専門学校に進学するからです。それも高い日本語力を要求しない、授業料の分割ができる低いレベルの学校への進学を志望します。また、一〇年に「就学ビザ」が「留学ビザ」に一本化され、資格外活動(アルバイト)の時間も週十四時間から二十八時間に増えました。
 これは経済的な問題を抱えている学生にとっては歓迎できることですし、「就学」と「留学」とを差別化しないという点から見ても、一歩前進だと思います。しかし一方で、労働人口が減少する状況を穴埋めするためなのかと思う面もあります。アルバイトであれ、就職であれ、学生たちの労働条件などをしっかり順守するような法律や指導が同時になされなければなりません。これは、「技能実習生ビザ」などさまざまなビザで入国させ、安い賃金や劣悪な労働条件で働かせていることが問題になっていることでも明らかです。
 ところで私達教師は、学生の増加と慢性的な教師不足で、毎日忙しいばかりです。定時に帰れることはほとんどなく、夜九時過ぎに家に帰り、食事、風呂、次の日の授業の準備で慢性的な睡眠不足になっていて、昨年は職場で倒れてしまいました。その上、ボーナスも残業代もありません。とにかく忙しいので、学生の相談にのる時間も取れない時があります。本末転倒とはこのことでしょう。
 安倍政権は、働き方改革で長時間労働の規制をいっていますが、ウソです。労働条件はますます劣悪になっています。職場に労働組合はありませんが、以前皆で基本給のアップを要求したことが何度かあります。そして、かなり要求ですがのませました。しかし若い人の中で「あの先生より私の方が働いている」と経営者に個別交渉する動きが起こりました。私は「皆で要求するので、個別交渉をしてはいけない」と言いました。団結することの重要さを皆で共有することは不可欠です。韓国で青年労働者が闘っている話をしたり、労働問題の催しに同僚や学生を誘ったり、私ができることを少しずつやっている毎日です。
 それにしても、日本の若い人が個人の利益に走りがちなのに、韓国の闘いはすごいなあと思います。韓国やヨーロッパや米国にいる卒業生たちからも、「今の韓国の政治は許せない。私もすぐに韓国へ帰ってデモに参加したい」とメールがきます。日本植民地時代の独立闘争、戦後の民主化闘争など闘いの伝統を感じます。韓国にいる卒業生は母親から「何しているの! 早くデモに行きなさい!」と言われたそうです。
 日本にもこんな状況を早くつくりたいと思います。アジアの連帯と共生を!


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