労働新聞 2002年9月25日号 通信

町議選を闘って
お上に逆らわぬ候補者たち

富田 伸吾

 8月の初旬、私の住む町で町会議員の選挙がありました。22人の議席を23人で争う少数激戦でした。立候補者の内訳は保守系11人、公明党4人、共産党4人、革新無所属2人、他に無所属2人でした。結果は無所属の候補者1人が落選しました。投票率は、すう勢に影響なしとの町民の判断からか、前回を下回る62%でした。これでも、地方選挙の平均的な投票率は上回っているそうです。
 私は革新系無所属候補の応援をしましたが、この候補者は、すでに3期10年の議員経験をもっています。この選挙を闘うにあたって、私と私の仲間たちは今年の1月から毎月、ビラの新聞折り込みなどを行い、議会報告や町政の在り方などを、町民にこと細かに情報提供してきました。
 今回の選挙の争点は、現在全国的に議論を巻き起こしている「市町村合併」と、地域に「道の駅」を建設することにかかわるものでした。両方とも、今の国の財政赤字を地方自治体に肩代わりさせるために政府の意図から出ているのは明らかで、これらを町民にどのようにして理解させるかが問われた選挙でした。
 すでに、町は税収が年々落ち込み、逆に借金は増加の一途をたどり、町自体が国と同様にばく大な財政赤字で四苦八苦しているのが現状で、町全体が暗く落ち込んでいます。町の活性化は長年にわたって各候補者の選挙スローガンですが、活性化どころか衰退する一方に「あ然としている」のが実際です。

政府の政策で町が犠牲に

 私の住む町の特徴は、純農村地帯ですが農業といっても平均年収が200万円ぐらいです。その他の地場産業が多少あるとはいえ、その数も年々減少しています。大方の町民は東京方面に職をもつサラリーマンです。
 農村地帯特有の保守系によるボス政治が長年にわたって行われてきた町だけに、町長をはじめ議員、町役場の職員にいたるまで時代の変化をキャッチする能力と敏感さをもたず、慣習的にたんたんと行政が行われてきたことのツケが衰退を増幅させてきたことは間違いありません。「私の町はどこにいくのだろう」との思いで、町民は暮らしています。
 そこに、「市町村合併」や「道の駅」など、お上から指令が来ました。町民には、このままでは現状を打開できない、だから「市町村合併」や「道の駅」で町の活性化につながるのではないかという期待感と、さらに借金を重ねるのかとの不安感が複雑に入り交じっています。
 いつのまにか「市町村合併推進委員会」なるものが立ち上げられ、「道の駅」計画もどんどん進められています。ところが、今回の選挙では町の運命を決するような「市町村合併」の問題がどの候補者からも語られませんでした。共産党は「合併反対」を言わず、せいぜい「町民の意思を尊重」に終始しました。
 政府の政策で町が犠牲にされようとしています。地方自治体とそこに住む住民の苦労を逆手にとって押し付けられる「市町村合併」や「道の駅」。町長をはじめとする行政、議員はこれに真正面から向き合わず、町民はおろおろする。こんな町の姿を改めて考えさせられる選挙でした。


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